冒頭の写真は《ラーモセとピプウイの像》玄武岩29.0×17.3cm エジプト 紀元前1293-1185年頃
エントランスを抜けた正面ロビーには荘厳な古代ギリシャ・ローマ彫刻が数点、展示されています。
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2mを優に超える像《ペネロープ》が来館者を迎えます。一見、巨漢と思いきや、物思いに沈む女性がモデルであることが判ります。逞しい脚のラインが見て取れます。栄養状態の良い裕福な階層だったことは間違いなさそうです。
“ペネロープは、トロイア戦争でギリシアを勝利に導いた英雄・オデュッセウスの妻です。夫の出征中、多くの求婚を受けながら、夫の帰りを待ち続けたペネロープは、しばしば手を顎に当てた物憂げな様子で表現されます。”(キャプションより一部引用)
ポセイドン神に呪いをかけられたオデュッセウスが故郷の地を踏むまで10年。生還を信じてひたすら待つ妻に対し、気の毒に思った周囲が再婚を勧めたのでしょうか。求婚する男性が引きを切らない程、ペネロープは魅力的な女性だったのでしょうね。
右手【展示室1】で表題《古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い》が開催されています。展示室内は撮影可。印象に残った展示作品を幾つかご紹介します。
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エジプト サッカラ 紀元前25〜22世紀頃
紀元前25〜22世紀頃には既に、浮彫技術を有する職人が一定数いたのですね。供物の中身は…「魚」しか判別できません。古代エジプト人の主食はパンとビールだったようですね。従者が左肩で支える器に入る丸く盛り上がった食物が美味しそうなパンに見えてしまいます。
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エジプト 紀元前664-332年頃
“冥界の王オシリス神の前で行われる最後の審判で無罪と認められれば誰もがあの世で永遠の生を享受できるとされ、広く人気を集めました。”(キャプションより一部引用)
保存状態の良さに目を見張りました。欠損箇所もなく、金箔も綺麗に残っています。胸の前で交差させた両腕を胴体と一体化し、両脚をきちんと揃えさせて一体化することで、スタイリッシュな造形に仕上がっています。
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紀元前1279-紀元前1213年頃
“この像は、米国ボルチモアのウォルターズ美術館所蔵作品と対をなし、ドイツのベルリン美術館所蔵の家族像によって、神官プタハ・メイと妻ハトシェプストの娘「エネヘイ」と判明しています。”(キャプションより一部引用)
この像の保存状態も非常に良好です。身体の前に左腕を添え、膝の上に右腕を置き、胴体と一体化しているためでしょうか、欠損を免れています。膝下も足指も長く、プロポーションの良さが際立っています。顔にあどけなさを残していますが、キャプションに「女主人」とあり、既婚だったようですね。どんな職業の男性と結婚していたのかは不明ですが、何らかの経済活動に関わっていたのかもしれません。
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剥落箇所はありますが、褪色は殆ど見当たりません。緑色・赤色が実に鮮やか。幾重にも施された模様に工夫があり、技術者の豊かな創造性を窺うことができます。
《古代エジプトの美術 平穏と幸せへの願い》会期は2025年2月9日まで。
![](https://www.matsuoka-museum.jp//assets/images/facebookIcon.png)
![]() | 価格:5350円 |
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