冒頭の写真は、旧古河庭園で撮影した薔薇《スブニール・ドゥ・アンネフランク》。
各美術館の公式サイトから、2025年7月〜12月に始まる展覧会情報を収集してみました。東京(近郊)で開催される数多の展覧会から厳選してご紹介しましょう。
以下、開幕日の早い順に掲載します。
2025年後半を展望する
✦上野/国立西洋美術館 🌻スウェーデン国立美術館《素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで》7月1日〜9月28日
✦丸の内/東京ステーションギャラリー《藤田嗣治 絵画と写真》7月5日〜8月31日
✦上野/東京国立博物館 平成館《江戸☆大奥》7月19日〜9月21日

✦恵比寿/山種美術館 🌻《江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで》8月9日〜9月28日
✦上野/東京国立博物館 本館 🌻《運慶 祈りの空間―興福寺北円堂》9月9日〜11月30日

✦六本木/サントリー美術館《絵金》9月10日〜11月3日

✦上野/東京都美術館《ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢》9月12日〜12月21日

✦六本木/国立新美術館 🌻《ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧》9月17日〜12月15日
✦新宿/SOMPO美術館《モーリス・ユトリロ展》9月20日〜12月14日

✦日本橋/三井記念美術館 🌻開館20周年特別展《円山応挙―革新者から巨匠へ》9月26日〜11月24日

✦丸の内/静嘉堂文庫美術館🌻《静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝》10月4日〜12月21日

2025年と2026年を繋ぐ展覧会
✦上野/国立西洋美術館 🌻オルセー美術館所蔵《印象派ー室内をめぐる物語》 10月25日〜2026年2月15日
🌻マークは、トコが是非観たいと思う展覧会です。京都国立博物館『国宝展』(2017年開催)で円山応挙《雪松図屏風》を初めて拝見し、目が釘付けに。三井記念美術館《開館20周年特別展 円山応挙》は、最も期待する展覧会です。東京都美術館《ゴッホ展》は、昨年度《田中一村展》以上に混雑するかもしれませんね。
後日お薦めしたい展覧会が見つかりましたら、適宜ご紹介したいと思います。
![]() | 価格:12000円 |

2025年前半の展覧会を振り返る
1.2025年1月〜5月に来館した展覧会は20会場ほど。とりわけ感銘を受けた展覧会は ⇓
✦静嘉堂文庫美術館《豊原国周生誕190年 歌舞伎を描く》(会期1/25〜3/23)
前期展示を鑑賞しました。撮影もできましたが、多くの来館者はスマホを出さず、じっくり鑑賞されていました。作品の質が高く、その没入体験は格別。ならば、大幅に展示替された後期展示も観たかったです。
✦国立西洋美術館《西洋絵画、どこから見るか?》(会期3/11〜6/8)
サンディエゴ美術館から49点が出品されているとのこと。今年開催された(orる)東京(近郊)展覧会の5指に数えられるのでは?と思うほど充実しています。会期は6月8日まで。
2. 展示作品を撮影することのできた展覧会から、とりわけ感銘を受けた展示作品をご紹介します ⇓
宝船「長崎丸」 江崎栄造/大正5年(1916)/玳瑁、木、蒔絵/皇居三の丸尚蔵館
大正5年11月に大正天皇が福岡県下を行幸の折、長崎県から献上された鼈甲細工の宝船「長崎丸」。日輪に鶴が描かれた帆に風をはらみ、大海原を進むこの宝船には、農産物や水産加工物など、長崎県の重要な物産27種類が積まれています。(キャプションより引用)

皇居三の丸尚蔵館《瑞祥のかたち》展(1/4〜3/2)で鑑賞。精巧で美しく、2025年幕開けに相応しい縁起の良い作品でした。
ポティエ・ド・ジェヴル枢機卿エティエンヌ=ルネ ポンペオ・ジローラモ・バトーニ/1758年/ 油彩、カンヴァス/サンディエゴ美術館
この画家はグランド・ツーリストの肖像画を得意としましたが、本作はそうした作例とは異なり、像主の知識や経験をひけらかすための各種装飾や事物が一切描かれません。それは赤いケープを身に纏った像主が、フランス人枢機卿であったからです。(以下、割愛)(キャプションより引用)

国立西洋美術館《西洋絵画、どこから見るか?》(3/11〜6/8)で鑑賞。レースの描写力が圧巻。大層見応えがありました。
自画像 マリー=ガブリエル・カペ/1783年頃/油彩、カンヴァス/国立西洋美術館
国立西洋美術館古典古代への参照は放棄され、当時流行していたロココ風の華やかな青いサテンのドレスとリボンをまとい、イーゼルに向かう本人の姿が晴れやかに描き出されています。(キャプションより引用)

同じく、国立西洋美術館《西洋絵画、どこから見るか?》(3/11〜6/8)で鑑賞。自画像ならば、実像に近かったかもしれませんね。
七宝四季花鳥図花瓶 並河靖之/ 明治32年(1899)/七宝/皇居三の丸尚蔵館
明治時代に活躍した七宝家・並河靖之の代表作です。輪郭線となる金線の太さを自在に変えて、桜と青紅葉を中心に様々な花を繊細な有線七宝で表しています。1900年のパリ万博において日本美術を世界にアピールするため、明治天皇の御下命を受けて製作されました。(キャプションより引用)

皇居三の丸尚蔵館《百花ひらく》(3/11〜5/6)で鑑賞。非の打ちどころのない本作に忽ち魅了されました。多くの来館者が、ガラスケースの周囲を回りながら鑑賞していました。右に同じ。実に美しい作品でした。
隆冬 石崎光瑤 昭和15年(1940)/絹本着色/六曲一隻/ 紀元2600年奉祝美術展 南砺市立福光美術館
「隆冬」とは真冬のこと。鳥の一群が雪降る中を飛んで行く。前方をオシドリなどカモの仲間が乱れ飛び、その後ろから雁が悠然と羽を広げて飛ぶ。(中略) 当初は1面のパネル装だった。(キャプションより引用)

日本橋髙島屋《石崎光瑤》展(4/23〜5/6)で鑑賞。展示期間が短く、ブログをアップしたものの“鳴かず飛ばず”のうちに会期が終了。日本橋髙島屋ならではのクォリティの高い展覧会でした。
3. 撮影不可だった展覧会から、とりわけ感銘を受けた展示作品をご紹介しましょう ⇓
乗興舟 伊藤若冲 明和4年(1767)頃 千葉市美術館
板橋区立美術館《エド・イン・ブラック》(3/8〜4/13)で鑑賞。『乗興舟』は《相国寺展》(3/29〜5/25)でも展示されていましたが、初見のインパクトは絶大。
探幽縮図画帖 狩野探幽筆 一帖 紙本墨画淡彩 江戸時代 17世紀 相国寺
狩野探幽は、鑑定のために持ち込まれた様々な作品を模写し、その日付や依頼主を記録した。すでに現存しない作品の情報も含まれていることから史料的価値はきわめて高い。(キャプションより引用)
東京藝術大学大学美術館《相国寺展》(3/29〜5/25)で鑑賞。前後期場面替。小品にも窺える探幽さんの真骨頂。
2025年前期の展覧会を簡単に振り返りました。お付き合いくださり有難うございました。