冒頭の写真は、手塚雄二画伯《海霧》(2003年)部分。
2024年を振り返る
今年訪ねた展覧会は20会場ほど。満足感の高かった展覧会および作品を簡単に振り返ります。
✦泉屋博古館東京《ライトアップ木島櫻谷》
*木島櫻谷 柳桜図 1917年 六曲一双屏風 泉屋博古館東京蔵
描線といい、色彩といい、美しい屏風です。
*木島櫻谷 雪中梅花図 1918年 六曲一双屏風 泉屋博古館東京蔵
円山応挙《雪松図屏風》を連想しました。格調高く、泰然としています。
✦山種美術館《東山魁夷と日本の夏》
*東山魁夷 満ち来る潮 1970年 紙本・彩色 山種美術館蔵
幅9mを超える大作。東山作品はもとより、所蔵作品のクオリティは折り紙付き。見応えのある小品も多数揃っています。
✦東京都美術館《田中一村展》
*田中一村 不喰芋と蘇鐵 1973年以前 絹本着色 額装 個人蔵
先ず驚いたのは、本作が個人の所蔵品であること。代表作に数えられる『忍冬に尾長』『アダンの海辺』といった作品も「個人蔵」。美術館に寄託されているケースも多いのだろうと推測しますが、まさしく家宝ですよね。
✦SOMPO美術館《カナレットとヴェネツィアの輝き》
*カナレット サン・マルコ広場 1732−1733年頃 油彩、カンヴァス 東京富士美術館蔵
第一印象は「端正」。大作ではありませんが、カナレット作品の中では断然推したい。
*ウィリアム・ジェイムズ スキアヴォーニ河岸、ヴェネツィア 制作年不詳 油彩、カンヴァス 東京富士美術館蔵
カナレットのみならず、ヴェネツィアの景観をモティーフにした絵画に魅了されました。丁寧なパネル解説のお陰で理解が進みました。
尚、本展は開催中です。会期は12月28日まで。
✦そごう美術館《寛永寺創建四百周年 根本中堂天井絵奉納記念 手塚雄二展》
*手塚雄二 東叡山寛永寺根本中堂奉納天井絵 叡嶽双龍 2023年 板絵
ただただ圧倒されました。奉納前に拝見できる希少な機会でした。
*手塚雄二 海霧 2003年 六曲一隻屏風
幻想的なモティーフ、気品ある色遣いに惚れ惚れしました。
✦大倉集古館《志村ふくみ100歳記念―《秋霞》から《野の果て》まで―》
*志村ふくみ 秋霞 1958年 紬織/絹糸、藍 個人蔵
*志村ふくみ 月の湖 1985年 紬織/絹糸、藍、玉葱 個人蔵
これらの作品に限らず、見事な紬織が多数展示されています。本展は2025年1月19日まで。入館料は一般1,500円。和服での来館者は『着物割引』(300円引き)が適用されます。私は受付で『ぐるっとパス』(2,500円)を購入して入館しました。ご興味のある方は是非お出掛けください。
―余談― 20数年前、志村ふくみさんの『桜染め』に友人が魅了され、その影響で特集番組を視聴しました。桜色に染めるために桜の枝を用いることが何とも不思議でした。
価格:2530円 |
2024年と2025年を繋ぐ展覧会
―2024/12/15追記―
会期が2024年から2025年にまたがる展覧会のうち、注目したい展覧会をご紹介します。
✦虎ノ門/大倉集古館《志村ふくみ100歳記念―《秋霞》から《野の果て》まで―》 〜1/19開催
✦恵比寿/山種美術館《HAPPYな日本美術》 〜2/24開催
✦箱根町/岡田美術館《御舟と一村、珠玉の日本画》 〜6/1開催
2025年前半を展望する
東京都美術館《デ・キリコ展》を見逃した私としては、来年こそ後悔のないよう、各美術館の公式サイトから2025年1月〜6月に始まる展覧会情報を収集してみました。都内(若しくは近郊)で開催される数多の展覧会から21の展覧会をご紹介しましょう。
以下、開幕日の早い順に掲載します。
✦大手町/皇居三の丸尚蔵館《瑞祥のかたち》1/4〜3/2開催
✦横浜/そごう美術館《手塚治虫 ブラック・ジャック展》1/16〜2/25開催
✦上野/東京国立博物館 🌷特別展《旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―》1/21〜3/16開催
✦丸の内/静嘉堂文庫美術館《豊原国周生誕190年 歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵 初公開!》1/25〜3/23開催
✦六本木/森アーツセンターギャラリー 🌷特別展《古代エジプト 掘り起こせ、三千年の謎》1/25〜4/6開催
✦原宿/太田記念美術館《生誕190年記念 豊原国周》2/1〜3/26開催
✦六本木/サントリー美術館 🌷《没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ》2/15〜4/13
✦丸の内/三菱一号館美術館《異端の奇才 ビアズリー展》2/15〜5/11開催
✦上野/東京都美術館 特別展《ミロ展》3/1〜7/6開催
✦六本木/東京シティビュー 🌷《手塚治虫 火の鳥展》3/7〜5/25開催
―2024/12/19追記―
ネット情報から本展を追加しました。尚、NHK総合にてアニメ『火の鳥』再放送が1月1日〜始まるようです。そちらのリンクも貼っておきます。
✦恵比寿/山種美術館 特別展《桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!―》 3/8〜5/11開催
✦上野/国立西洋美術館 🌷企画展《西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで》3/11〜6/8開催
✦上野/東京藝術大学大学美術館 🌷《相国寺展 金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史》3/29〜5/25
✦六本木/泉屋博古館東京 📕企画展《ライトアップ木島櫻谷Ⅱ》4/5〜5/18開催
✦表参道/根津美術館《財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図》4/12〜5/11開催
✦新宿/SOMPO美術館 🌷《生誕140周年 藤田嗣治 7つの情熱》4/12〜6/22開催
✦上野/東京国立博物館 📕《蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児》4/22〜6/15開催
公式サイトに12/14時点では記載されていません。
✦恵比寿/山種美術館 🌷📕特別展 生誕150年記念《上村松園と麗しき女性たち》(仮称※)5/17〜7/27(予定)開催
※12/14時点では仮称。正式なタイトルは、後日追記致します。
✦丸の内/三菱一号館美術館 📕《ルノワール✕セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠》5/29〜9/7開催
✦千葉市/千葉市美術館 📕《江戸の名プロデューサー蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ》(仮称※)5/30〜7/21開催
※12/14時点では仮称。正式なタイトルは、後日追記致します。
公式サイトに12/14時点では記載されていません。
✦箱根町/ポーラ美術館 📕《ゴッホ・インパクト》(仮称※) 5/31〜11/30(予定)開催
※12/14時点では仮称。正式なタイトルは、後日追記致します。
公式サイトに12/14時点では記載されていません。
🌷マークは、トコが是非観たいと思う展覧会です。『泉屋博古館東京』は今春も拝見したので迷うところ。訪問されたことのない方は是非お出掛けください。『根津美術館』の屏風絵をご覧になっていない方も必見です!鈴木其一『夏秋渓流図』は私の推し。
『日経おとなのOFF』(2025年1月号)が12月13日に発売されます。タイトル《2025絶対見逃せない美術展》。『日経おとなのOFF』月刊誌は、残念ながら5年半前に休刊となりましたが、臨時増刊号は存続。今年も書店に予約しました。拝読後、これは!という展覧会が見つかったら追記する予定です。尚、当ブログは11月28日時点の情報に基づいて綴っております。
―2024/12/14追記―
📕マークは、12月13日発刊『日経おとなのOFF』(2025年1月号)に紹介されている中から新たにピック・アップした展覧会です。
価格:2840円 |