アーティゾン美術館《空間と作品》展で贅沢な時間を過ごしましょう❢【後編】(2024年/夏)

展覧会

7月27日より《空間と作品》展が開催されています。前編に続き、印象に残った展示作品をご紹介します。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》

こちらはモデルの両親が依頼主。父のジョルジュ・シャルパンティエは出版社を経営していて文学者や芸術家、政治家を自邸に招いてサロンを開いていました。(キャプションより一部引用)

ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年 油彩・カンヴァス

私は30代の頃、モネ、ルノワール、ゴッホの作品を好んで鑑賞していました。本展注目作の筆頭に、このルノワール作品を挙げたい。靴下の色をドレスの一色と揃えて、赤いネックレスで娘を飾る依頼主の意気込みが伝わってきます。大人を真似たのか、少女は足を組み、柔らかい眼差しをこちらに向けています。ドレスの一色である青色(系の色)が顔・胸元・腕・足の陰影に使用されているのが印象的です。ややもすると不健康に見える色ですから。反して、血色の良い頬やふっくらした腕は健康そのもの。頬の赤味は、肉筆の方がより目立っていたように思います。

エドガー・ドガ《右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク》

この作品、ガラスケース越しではなく、直に鑑賞できます。バレエのポーズ=アラベスクと命名されています。タイトル通り、モデルの女性の意識は前方の地面に向かっているように見えます。

エドガー・ドガ《右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク》1882ー95年 ブロンズ

右から順にマネ《自画像》、モネ《黄昏、ヴェネツィア》、マティス《画室の裸婦》の3作品が展示されている壁面を、鑑賞者のいないタイミングで撮影しました。そんなチャンスがあるほど、この美術館は広大です。

クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》

黒木三次旧蔵。フランス滞在中にジヴェルニーのモネ邸を何度も訪れた黒木ですが、こちらは画家から直接購入したと言われます。(キャプションより一部引用)

クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》1908年頃 油彩・カンヴァス

色彩もシチュエーションも異なるのですが、脳裏に《印象・日の出》を思い描きました。《印象・日の出》は、昇った太陽の光が海面に届いて橙色の帯を形成する美しい絵画です。

この作品は、空も海も殆ど橙色に染まる夕暮れが描かれています。この画面上方の青色から推して、画面に収まらない上空も青色。海面の手前はその上空を映した青色。これらの補色を効果的に活用して橙色を引き立てています。修道院らしき建造物の影が海面に長い帯を成し、額縁まで届いています。この増幅された影が特徴的だと思います。ぼんやり霞んだ遠景との対比を狙って強調したのでしょうか。

重要文化財 青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)

重要文化財《青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)》 中国 龍泉窯 元時代(14世紀)

キャプションによると筑前藩主・黒田家旧蔵。

重要文化財 雪舟 《四季山水図》

4幅に春・夏・秋・冬の景色が描かれています。キャプションによると、こちらも筑前藩主・黒田家旧蔵。

4幅それぞれ、人間が描き込まれている箇所を撮影しました。

肉眼では気が付きませんでしたが、奥に連れ合いらしき女性の姿も見えます。

小者を供に、奥山を訪れた風流人でしょうか。

男性が渓流釣りをしています。

男性らしき姿が見えます。

アンリ・マティス《縞ジャケット》

110年前のファッションとは思えないほど洗練されていますよね。ジャケットの裾・左袖が省略されているあたりはマティス絵画の特徴でしょうか。

アンリ・マティス 《縞ジャケット》 1914年 油彩・カンヴァス

藤田嗣治《ドルドーニュの家》

壁と床の境界・階段は、細い線と僅かな陰影で描き分けられています。遠目に拝見すると、白いリビングルームにしか見えませんが…。黒・茶をアクセントにした対比に魅了されます。人の気配こそありませんが、暮らす環境は調えられているようです。

藤田嗣治 《ドルドーニュの家》 1940年 油彩・カンヴァス

アルフレッド・シスレー《サン・マメス六月の朝》

シスレーの絵も素敵ですね。中景では、子連れの母親と紳士が立ち話をしているように見えます。肉眼では判りませんでしたが、画像をよくよく拝見すると、その先に、子を抱いた母親がもう一人の子を伴って歩いているような。その先にも数人歩いていますが、もはや判別不能

アルフレッド・シスレー《サン・マメス六月の朝》1884年 油彩・カンヴァス

ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》

モリゾはマネの絵のモデルとしても知られていますよね。描かれているのは、バルコニーの柵にもたれながら傍らの娘を気遣う女性の表情を窺うことのできる一枚。正装した母娘のファッションにも注目したいですね。

ベルト・モリゾ 《バルコニーの女と子ども》 1872年 油彩・カンヴァス

パブロ・ピカソ《生木と枯木のある風景》

ピカソと聞けば抽象画を思い描く私としては、この絵は実景に近い印象です。つぶさに拝見すると、具象と抽象の中間でしょうか。似たような樹木が描かれ、一方の樹木の枝は全て、剪定されたように切られています。一見、枯れているようには見えないのですが、葉を繁らせている隣の樹木と比較すると差は歴然。第一次世界大戦(終戦)の翌年に制作されたこの作品にどんな寓意性があるのか、気になるところです。

パブロ・ピカソ《生木と枯木のある風景》1919年 油彩・カンヴァス

以上、印象に残った10作品をご紹介しました。【前編】でも10作品を取り上げております。どうぞ、前編もご覧ください。

《空間と作品》展の会期は10月14日まで。

アーティゾン美術館 Artizon Museum, Tokyo
東京駅徒歩5分、学生無料(要予約)。印象派と日本近代洋画を中心に、古代から現代アート まで約3,000点を所蔵。美術の多彩な楽しみをお届けします。

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