千葉市美術館【岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師】18年振りの回顧展始まる‼(2024年/夏)

展覧会

開催予告記事を拝読し、絢爛豪華な花鳥画を是非鑑賞したいと思っていました。JR東京駅を起点にすると、美術館最寄りのJR千葉駅まで、快速で40分程です。

7月上旬に初訪問。JR千葉駅/東口より徒歩で向かいました。所要時間は約15分。重厚な建物の一角がエントランス(冒頭の写真)です。エレベーターで受付のある8階へ。観覧料は一般1,400円。同時開催の企画展《江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展との共通チケットとなります。私は『ぐるっとパス』を活用しました。撮影を許可されていた展示作品のうち、幾つかご紹介します。

百花百鳥図ひゃっかひゃくちょうず

本作は、中国・明時代に流行し、日本にも伝播したいわゆる「百鳥図」に想を得て制作したものと思われる。”(キャプションより一部引用)

疎と密を描き分けているので、煩雑な印象はありません。淡彩で描かれた空気感がお見事。様々な種類の鳥たちが現実に集っているかのように生き生きと描かれています。※白い斑点は照明の反射です。

《百花百鳥図》 江戸時代(19世紀)

タイトルは《百花百鳥図》ですが、実際に描かれている花の種類はそう多くありません。キャプションによると、描かれている鳥は約50羽。作品の傍らに、鳥の名前を明記したパネルがありました。

画面を分割して高倍率で撮影。上部から観察していきます。木の枝に止まる鳥たちは、天敵の襲来を警戒するかのように嘴を尖らせています。その厳しい表情から、けたたましい鳴き声が飛び交っているようにも感じられました。

長い尾を持つ錦鶏きんけい(オス)が低木の幹に陣取って斜め上方に険しい目を向けています。(画面に描かれていない)襲来者を視界にとらえたのでしょうか。低木の枝に止まる小鳥達も緊張の面持ちで見上げています。空を飛ぶ小鳥たちが退避行動を始めたようにも見えます。

木の根本に集う鳥たちの表情は比較的穏やかです。鴨の群れは我関せず、といったていで泳いでいます。

《孔雀図》

墨で描かれた作品。画面左下から右上へ幹が伸びる構図はポピュラーですが、孔雀が羽を休める足場を平らに描き、その先の節から枝を伸ばすことで、対角線を完遂させたようにも見えます。

《孔雀図》 嘉永7年(1854年) 48歳

画面を高倍率で撮影。孔雀の表情は今ひとつ窺えません。草をくわえているのでしょうか。高所で孔雀が暫し休息をとっている場面を切り取ったように見えました。

芙蓉ふよう孔雀図》

秋暉の孔雀図の中で最もスタンダードなのは飾り羽を垂らす図様であるが、本図のように飾り羽を立てる構図の作例も多く知られる。”(キャプションより一部引用)

メスがオスに寄り添うつがいの孔雀が描かれています。背後の丈の長い芙蓉花と高さを競うかのように飾り羽を立てています。芙蓉は、芙が「富」蓉が「栄」と音通する吉祥の花”(キャプションより一部引用)とのこと。

《芙蓉孔雀図》 江戸時代(19世紀)

《白梅孔雀図》

本展を象徴する秋暉渾身の作品です。“上部に余白をとり、画面奥から流れ出る渓流の景色を描くことで、大画面に相応しい広やかで清々しい図となっている。”(キャプションより一部引用)

空を見上げるオスと水中を窺うメス。関心を向ける先が異なっている点に面白味があります。咲き乱れる華やかな芙蓉が近景。孔雀の全身を露わにしないことで、自然に溶け込む孔雀を演出しているように見受けられます。

《白梅孔雀図》 安政3年(1856年) 50歳

渓流孔雀図けいりゅうくじゃくず

くずが生い茂り、菊花が香る秋の景色の中に2羽の孔雀を描いた大幅。片足立ちの孔雀は右方に鳴きかけるような姿態したいをとり、渓流の豊かな流れ、飾り羽が風になびく様など、随所に動感を交えた図様となっている。”(キャプションより一部引用)

背景の幹・葛の葉が淡彩で描かれ、若干、霧がかかっているようにも見えます。孔雀の飾り羽は、周囲の岩・土と同色ですが、濃い茶色を丹念に重ねているため、主役の存在感が際立っていると思います。

《渓流孔雀図》 江戸時代(19世紀)

《蝶に孔雀図》

二曲一隻屏風。向かい合う2羽の間に蝶が迷い込み、オスが関心を向けているように見えます。オスの飾り羽がメスに被るように描かれ、各1羽を描いた2曲に繋がりが生まれています。

《蝶に孔雀図》 江戸時代(19世紀)

彫金家・石黒家の次男として生まれた秋暉しゅうきは、南蘋派なんぴんはの大西圭斎に画を学び、20代には既に絵師として活躍していました。一方で小田原藩・大久保家に仕える藩士としての顔も持ち、江戸藩邸に勤めながら精力的に制作を続け…”(パンフより一部引用)

撮影不可でしたが、かつて藩主の御殿を飾った杉戸絵も展示されていました。絵師と藩士。二足のわらじを履いていた訳ですが、江戸時代の勤務実態(出仕日数、拘束時間)は比較的緩く、意欲的に制作を継続できる環境下にあったのではないでしょうか。

岡本秋暉おかもとしゅうき 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師》会期は8月25日まで。

千葉市美術館
千葉市美術館は、浮世絵をはじめとする近世から近代の日本絵画と版画、1945年以降の現代美術、房総ゆかりの作品を所蔵し、多彩な企画展を開催しています。

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