板橋区立美術館にて《エド・イン・ブラック》を鑑賞。

展覧会

冒頭は、美術館隣接する赤塚溜池公園の景観。

「黒」は何にも染まらない特異な色といえます。日本絵画においては、古くから欠かすことのできない要素の一つでした。(中略) 本展覧会では、黒に焦点を当て、江戸絵画にみる黒の表現とともに、当時の文化や価値観などもご紹介します。    (公式サイトより一部引用)

会期は3月8日から4月13日まで(会期中、一部作品に展示替・場面替があります。前期は3月30日まで、後期は4月1日から。)     観覧料は一般650円、大学生450円。

区立美術館であれば、そこまで混まないのではないかと当たりをつけ、開幕した土曜日に来館しました。開館時刻前に到着していた来館者は10名ほど。

板橋区立美術館の外観

受付の先にホールがあります。正面の壁面に浮世絵版画等が展示されています。ホールを挟んだ両側が展示室。本展は撮影不可です。鉛筆&ノートを携帯しなかったことを後悔しつつ鑑賞しました。帰宅後プリント・アウトした『作品リスト』を頼りに、記憶を辿りながら、印象に残った展示作品をご紹介しましょう。引用箇所については、紫色の文字で表記しました。

No.1 狩野探幽・狩野安信瀟湘八景しょうしょうはっけい    画帖》江戸時代(17世紀) 個人蔵

京都国立博物館
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右の画帖が狩野安信、左の画帖が探幽。素朴で風格ある筆致です。探幽さんの画風は好みでもあり、作品を見つけると心躍ります。

No.2 前期展示 重要美術品 長沢芦雪        《月夜山水図》 江戸時代(18世紀) 兵庫県立美術館蔵

幾度となく戻って拝見しました。月明かりに浮かび上がる樹木・山並みが幻想的。濃墨で描かれた山肌が実に美しい。クリアな稜線と墨の濃淡を活かした山肌との対比も見どころかと思います。ならば展示替の前に来館を。

No.17 与謝蕪村《闇夜漁舟図》江戸時代(18世紀) 公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館蔵

縦長の構図に夜の農村が描かれています。漁師と小舟を操る童子。人物を見守る絵師の温かい眼差しが感じられます。小舟から立ち昇る煙が樹木の梢の方へ流れていきます。キャプションに「篝火かがりび」と表記されていました。2人を乗せた小舟の幅がやや狭いかな。

No.10 鈴木其一暁桜夜桜図あかつきさくらよざくらず 江戸時代(19世紀) 黒川古文化研究所蔵

二幅の掛け軸が対になっています。右の掛け軸に「暁桜」、左の掛け軸に「夜桜」が描かれています。左下・右下の余白に位置取りすることの多い落款ですが、対の作品の場合、左右対称に位置を決めるようです。(もし間違っていたらごめんなさい。)「暁桜」は、水辺に植えられているようにも見えます。ピンク色に明るんできた空の下、淡いピンク色の花弁が空間に半ば同化しています。一方の「夜桜」は、花・蕾・葉・枝全てが色を失い、「暁桜」よりむしろ明確に造形を認識することができます。

No.11 歌川広重隅田堤闇夜すみだつつみやみよの桜》 弘化3〜嘉永元年(1846〜48)頃 個人蔵

ガラスケースに被さるようにして拝見しました。傑作。画題は「闇夜の桜」ですが、主役は3人の美女。提灯を提げた女を先頭に、隅田川堤の小径を2人の女が続きます。着物の柄は細部まで描き分けられています。背後には、黒いシルエットと化した桜の樹木。満天の星。よくよく考えれば、光源が提灯しかない中、人物が克明に猫写されることはいたって不自然ですが、鑑賞時は全く疑問を感じませんでした。

No.36 場面替 伊藤若冲乗興舟じょうきょうしゅう     明和4年(1767)頃 千葉市美術館蔵

乗興舟 文化遺産オンライン
伊藤若冲が相国寺の大典和尚と淀川下りをした折りの感興を絵画化したもの。ふつうの版画とは異なり、拓本をとるようにして作ったもので、当時としては知的でハイカラな感じがした。こうした拓版画を、若冲は冊子本の「玄圃瑶華」「素絢帖」などでも試して.....

本作を鑑賞できただけでも、来館した甲斐があったというもの。展示室↔ホールを2往復ほどして、キャプション主旨を記憶し、スマホにメモしました。

  • 淀川の風景を「拓版画」に仕立てた。
  • 白と黒が反転している。
  • 墨の諧調も見どころ。
  • 漢詩相国寺僧/大典顕常の手による。

なんて美しい雪景色…と思いきや、白と黒が反転していることを知り、早合点に気が付きました。「拓版画」が判らず、自宅でネット検索。別作品の解説文に「拓版画」に関する簡単な解説がありました。

白い部分は、版木では彫り込まれた凹部にあたります。そこに濡らした紙を貼り、表から墨を塗ると凹部は白く残るわけです。(『文化遺産オンライン』サイトより一部引用)

巻物は時間経過を表現しているので、若冲・顕常が川下りをした淀川は、右が上流、左が下流ですよね。上流では、対岸の道に3人の旅人らしき姿が認められます。下流へ視線を動かすと、対岸に架かる橋と集落。家々の輪郭が白で描かれています。やがて近景に中州(もしくは此岸)が加わり、そこに城が描かれています。対岸に「澱城」と表記されています。周辺に城は見当たらないので、中州(もしくは此岸)の城を指しているものと思われます。更に下流へ視線を投じると、対岸はより厚みを増し、遠景/山の連なりが何とも美しい。墨の諧調については、背景は真っ黒に塗りつぶされ、対岸・淀川・建物等は濃淡を交えて表現されています。余白に散らした漢詩の文字に気品があります。若冲の絵に見劣りしないどころか、しっくり調和していることに驚きを覚えます。相国寺の僧侶ともなると、教養・才能を兼ね備えていたのでしょうね。

No.70 鳥文斎栄之《三福神吉原通い図巻》江戸時代(19世紀) 個人蔵

この巻物も見応えがあります。駕籠に乗った三福神(恵比寿・大黒天・寿老人)が吉原を目指して隅田川沿いを行く場面が墨で描かれています。人間ではなく三福神が吉原へ通う画題に面白みがあります。巻物の左端には、座敷で花魁に囲まれた三福神が、桜を愛でながら酒宴に興じる場面が描かれています。水墨画から華やかな彩色画へ。見事な場面転換!!

No.46 酒井抱一《松風村雨図》天明5年(1785) 細見美術館蔵

抱一さんは流石に上手いなあ…と感心したところで思考が止まってしまいました。会場で是非ご覧ください。

展示作品の中から、特に印象に残った8点をご紹介しました。観覧時間の目安は1時間〜1時間半。《エド・イン・ブラック》会期は4月13日まで。

余談① 受付で貰った本展チラシをろくに見ずにバックにしまいました。帰宅後に拝見したら、表紙は伊藤若冲《乗興舟》ではありませんか!!千葉市美術館所蔵作品を表紙に採用した当館の計らいと美意識に深く共感。

余談② 帰宅してから、狩野了承《秋草図屏風》(六曲一双)を見落としたことに気が付きました😔どこに展示されていたのだろう? 詰めの甘い側面が時々顔を出します。

余談③ 開館時刻より早く到着したので、隣接する赤塚溜池公園の梅花を撮影しました。

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エド・イン・ブラック 黒からみる江戸絵画|板橋区立美術館
板橋区立美術館
【レポート】「エド・イン・ブラック 黒からみる江戸絵画」が板橋区立美術館で4月13日まで 江戸時代の「黒」をとことん味わう
板橋区立美術館(東京)で「エド・イン・ブラック 黒からみる江戸絵画」が3月8日に開幕、4月13日まで開催されています。開館以来、時にまじめに、時にユーモアを交えながら江戸絵画を積極的に取り上げてきた”板美”。本展は「黒」
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