森タワー52階【森アーツセンターギャラリー】に《古代エジプト》出現!? [前編]

展覧会

冒頭の写真は、ファラオの頭部(おそらくプトレマイオス12世) 前332〜前30年 出土地:テーベ(伝) 石灰岩

副題は《掘り起こせ、三千年の謎》。会期は1月25日から4月6日まで。会期中無休。一般観覧料(当日券)は平日2,500円、土日祝2,600円です。

開幕の翌週、平日に来館。3階カウンターで前売券を提示。QRコード(を印刷した紙片)を渡されます。QRコードを翳してゲートを通過。エレベーターに乗り52階へ。既に百数十人の行列。一度に入場できる人数が制限されています。10分ほど待ち、ゲートで再度QRコードを翳して入場しました。

出品目録は、壁に表示されたQRコードからダウンロードできます。※スマホを持たない来館者向けに、紙の出品目録も若干用意されているようです。

展示作品は全て撮影できます。混雑していたこともあり、写り込みが少なく比較的綺麗に撮影できた展示品をランダムにご紹介します尚、紫色の文字で表記した箇所は、パネルまたはキャプションの解説から一部を引用しました。

ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群が東京・六本木に集結。(公式サイトより一部引用) 

ブルックリン博物館 ニューヨークではメトロポリタン美術館に次ぐ2番目に大きい美術博物館として収蔵品は150万点を超え…(中略) 米国でも最大級かつ質の高さを誇る古代エジプト美術コレクションは、彫刻、レリーフ、絵画、陶器、パピルスなど、1200点を超える貴重な作品を含み、同館最大の見どころとして世界的に注目されています。

本展監修 河江肖剰かわえゆきのり エジプト考古学者/名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センター教授

1992年から2008年までカイロ在住。(中略) サッカラの階段ピラミッド、ギザの三大ピラミッドとスフィンクス、アブシールのピラミッド群の3D計測調査、ギザの「ピラミッド・タウン」やシンキの小型ピラミッドの発掘など、様々な考古学調査に20年以上にわたって従事。

1st Stage 古代エジプト人の謎を解け!

1stステージのテーマは、数千年間にわたる古代エジプト文明の「日常生活」です。作品の多くは上流階級のものですが、異なる地域から発見された様々な遺物いぶつを通して、古代エジプトの日常を包括的に、より鮮明に、生々しく感じられるはずです。 

文明の予兆 (前略) 第一王朝には、重要な人物を大きく描く手法、頭を横向きにし、胴体を正面向き、脚を再び横向きに描く複合視点、また場面を区切るために用いるレジスターと呼ばれる線など、後に数千年間続く様々な「古代エジプト的」な要素が見られます。しかし、その特徴自体は、実は王朝成立のはるか前から見つかっています。(中略) ここで紹介する作品は王朝成立前後のものです。

東京会場特別出品 貴族の男性のレリーフ 新王国時代・第19〜20王朝、前1292〜前1075年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料

複雑な巻き髪とロータスの花の紐帯ちゅうたいがあるかつらが印象的なこの男性は、名前も職業も謎である。

河江Point! 宗教改革を行ったアクテンアテンが芸術表現も変化させたのが興味深いです。

貴族の男性のレリーフ 新王国時代・第19〜20王朝、前1292〜前1075年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料

美女をモデルにしたレリーフかと思いましたが、よくよく拝見すると、精悍な男性の横顔に見えてきますね。

※アクテンアテンをネット検索しました。第18王朝の王。ツタンカーメンの父とのこと。

書記になれ! 代エジプトで親が子にかせたい職業のナンバー1は「書記」でした。(中略) 神の言葉である文字をあやつる役職として、神官や官僚もすべて書記に含まれました。中王国時代に書かれた『ドゥアケティの教訓』では、父親が息子の出世を願い、書記がいかに素晴らしく、それに比べて他の職業が辛く、ひどいものかを生々しく描写しています。

古代エジプトでは当然、世襲制と思っていました。職業選択の自由があったとは驚きです。ホワイトカラー・ブラックカラーの範疇の中で多少融通が利いた、ということでしょうか。

No.6 書紀アメンヘテプ(ネブイリの息子) 新王国時代・第18王朝、前1426〜前1400年頃 出土地:テーベ(伝) 石灰岩

古代エジプトでは知識と読み書きの力がもっとも評価され、識字を習得した男性は本作のようにパピルスの巻物をひざに置き、足を組んだ書紀の姿勢で描かれる。

書紀アメンヘテプ(ネブイリの息子) 新王国時代・第18王朝、前1426〜前1400年頃 出土地:テーベ(伝) 石灰岩

当人の名前だけでなく、父親の名前も刻まれていたのですね。父親も「書記」だった可能性が高いのでしょうか。

No.23 椰子のサンダル ローマ時代、後3世紀〜4世紀 出土地不詳 

エジプトにおけるサンダルの起源は、紀元前4000年までさかのぼるが、のちにあらゆる階層の人々に使われた。

河江Point! サンダルは単なる履物ではなく、社会的地位、宗教的儀式など象徴的に様々なことと関わっていました。

椰子のサンダル ローマ時代、後3世紀〜4世紀 出土地不詳

装飾品以外であれば、あらゆる階層の人々が、身に着けるものに不自由しない時代が到来していたのでしょうか。

No.17 ナイル河畔の光景のレリーフ 新王国時代・第18王朝後期、前1353〜前1336年頃 出土地:ヘルモポリス・マグナ(推定) 石灰岩、顔料

上部では、造船技師が木の版をなめらかに仕上げており、下部では、つの水がめをつるした天秤棒てんびんぼうをかつぐ農夫が、急な川岸を登っている。

ナイル河畔の光景のレリーフ 新王国時代・第18王朝後期、前1353〜前1336年頃 出土地:ヘルモポリス・マグナ(推定) 石灰岩、顔料

文字の刻まれた断片も出土したのでしょうか。それとも(文字の刻まれた)別のレリーフに、同じような光景が描かれていたのでしょうか。この素朴な絵から造船技師と特定するのは難しそうです。

美しさと善良さ 古代エジプトにおいて「美」は、単なる容姿の良さだけでなく、内面的な美徳である「善良さ」を意味する概念でした。(中略) 外見部分はというと、(中略) 上流階級の女性たちは様々な装飾品を身に着け、首飾りだけでなく、指輪、腕輪などの装飾品が現代とほぼ変わらない形で出土しています。

No. 32 女性と供物を描いた墓の壁画 新王国時代・第18王朝初期、前1539〜前1425年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料、ジェッソ

緑色の敷物にひざまずき、青いロータスの香りをかぐ女性が描かれる。女性の前のテーブルの下には封がされたビールとワインの壺、テーブル上にはパンとウシの頭部がある。

女性と供物を描いた墓の壁画 新王国時代・第18王朝初期、前1539〜前1425年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料、ジェッソ

太古に描かれたとは信じ難いほど鮮やかです。女性の服装がラフですね。女性と供物をセットで描くことが通例だったのでしょうか。故人の縁者がモデルとなるケースもあったのでしょうか。葬られた人物との関係性が気になります。

No.39 新王国時代・第18王朝、前1478〜前1353年頃 出土地不詳 青銅

持ち手が若い女性の形をした鏡は新王国時代に登場したが、これらの女性は美と愛と豊穣ほうじょうの女神ハトホルと関連している。

河江Point! 鏡は他の化粧道具と同様、性と再生の象徴と結び付いていました。

鏡 新王国時代・第18王朝、前1478〜前1353年頃 出土地不詳 青銅

なるほど、持ち手の造形が面白いですね。鏡が性と再生の象徴とは意外です。

出産と子育て 女性は10代前半で婚姻を結び、早くから子供をもうけたとされます。古代エジプトの医療は古代世界においては高水準だったと考えられますが、それでも出産は命がけでした。そのため、人々は護符を身に着け神々の像を家の中に祀り、見えない力・神秘的な力に救いを求めました。

No.45 出産の神タウェレトの護符 新王国時代・第18王朝初期、前1539〜前1479年頃 出土地不詳 ファイアンス

タウェレトはカバの頭と胴体、ライオンの脚を持ち、様式化されたワニが背に垂れ下がった姿をした女神。このような恐ろしい姿には、か弱い者を脅かす邪悪な力を退ける意味がある。

出産の神タウェレトの護符 新王国時代・第18王朝初期、前1539〜前1479年頃 出土地不詳 ファイアンス

ブルーの美品なのに、デザインはグロテスクです。邪悪な力を退けるには恐ろしい姿であることが必須、という発想がユニークです。

No.44 授乳をする女性の像 中王国時代・第12〜13王朝初期、前1938〜前1630年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料

河江Point! 授乳する女性の像は、女神イシスが幼いホルスを抱き寄せて授乳する神話と関連し、古代エジプトにおける普遍的な母性愛を象徴していました。

授乳をする女性の像 中王国時代・第12〜13王朝初期、前1938〜前1630年頃 出土地不詳 石灰岩、顔料

片膝を立てながら授乳する女性の姿に、労働の合間に育児をこなす庶民の生活を思い浮かべました。

✦エジプト考古学者・河江肖剰が発掘現場で使う七つ道具

(前略)特によく使う道具は、記録用の野帳、発掘に欠かせないコテや刷毛、撮影時に使う方位矢印とスケール、地層や遺物を測るコンベックス、万能ナイフのレザーマン、写真記録や3Dモデリングに活用するカメラ、そしてこれらを収納するカバンです。これらの道具は耐久性と機能性を重視しており、過酷な現場での作業を支えてくれます。※下記項目の解説は割愛します。

1.カバン  2.カメラ  3.野帳  4.コテ、刷毛  5.方位矢印とスケール  6.コンベックス   7.レザーマン

七つ道具に「カバン」が含まれているということは、主な道具は六つと解釈してよさそうですね。

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2nd Stage ファラオの実像を解明せよ!

古代エジプト王の名前は通常「神」に関連し、当時の宗教や政治、社会情勢が反映されています。例えば、大ピラミッドを建造したクフ王の正式な名前はクヌムクイエフウィ〈クヌムは我を守りたもう〉という意味を持ちます。

ピラミッドとは? (前略) 古代エジプト人は、世界は「原初げんしょの海」から大地が盛り上がって始まったと考えていました。これは「原初の丘」と呼ばれ、すべての生命の源としてまつられていました。さらに、葬送そうそう 文書である『ピラミッド・テキスト』には、創世神そうせいしんアトゥムが世界を創造した時、ピラミッドと同じ形の聖なる石が生じたと記されています。古代エジプト人にとって、ピラミッドはまさに、そうした創世や宇宙観を象徴するものだったのです。

No.47 王の頭部 古王国時代・第3王朝後期〜第4王朝初期、前2650〜前2600年頃 出土地不詳 花崗岩

王の名前は失われているが、頭部の様式から、第3王朝から第4王朝への過渡期かときのものとされ、ギザの大ピラミッドを建造させたクフ王ではないかと推察される。

河江Point! クフ王の彫像は極めて少なく、アビュドス出土の象牙製の7.5cmほどの小さなものしかありません。

王の頭部 古王国時代・第3王朝後期〜第4王朝初期、前2650〜前2600年頃 出土地不詳 花崗岩

瞼を閉じているようでもあり、目を見開いているようでもあり。鼻は欠け、頬・顎は削れ…。頭部だけなので尚更、生々しい印象です。

No.52 高官メチェチィの像 古王国時代・第5王朝後期〜第6王朝初期、前2371〜前2288年頃 出土地:サッカラ 木、ジェッソ、顔料、アラバスター、黒曜石、銅合金

メチェチィは第6王朝の初代の王テティのもとで高官を務めた人物。(中略) 上層の役人が着る長い腰布をまとっている。銅の縁取りに石の象眼ぞうがんという高価な目の装飾が施され、大きな頭、長い指はこの時代の彫像によく見られる特徴。

高官メチェチィの像 古王国時代・第5王朝後期〜第6王朝初期、前2371〜前2288年頃 出土地:サッカラ 木、ジェッソ、顔料、アラバスター、黒曜石、銅合金

今にも歩き出しそうな程リアルでした。高官とはいえ、顔立ちは少年の面影を残しています。腰布が上層の役人の印とは奇怪な…。

No.55 ひざまずくペピ1世の小像 古王国時代・第6王朝、前2338〜前2298年頃 出土地不詳 硬砂岩、エジプシャン・アラバスター、黒曜石、銅

王がひざまずくのは神の前とされることから、本作は神殿内の神像の前に置かれていたに違いない。

河江Point! ペピ1世のピラミッドは南サッカラに造営され、周囲では王妃たちのピラミッドが8基も発見されています。

ひざまずくペピ1世の小像 古王国時代・第6王朝、前2338〜前2298年頃 出土地不詳 硬砂岩、エジプシャン・アラバスター、黒曜石、銅

神像の前に置く小像をどんな経緯で作ることになったのか知りたいところです。

神のフト〈館〉(前略) 神殿は通常、神のフト〈館〉と呼ばれ、その建物は創世神話や宇宙観を表していました。神域は周壁しゅうへきによって囲まれており、それは聖域を示すだけでなく、波のように凹凸のある形状によって、神話における「原初げんしょの海」を象徴していました。また、神殿の入り口には、太陽が昇る地平線〈アケト〉の象徴である巨大な塔門とうもんが建てられました。

No.56 アメン神官の像 末期王朝時代・第30王朝、前381〜前362年 出土地:テーベ(推定) 閃緑岩

末期王朝時代の作品だが、頭とかつらには2000年前の古王国時代の理想的な様式が用いられている。

アメン神官の像 末期王朝時代・第30王朝、前381〜前362年 出土地:テーベ(推定) 閃緑岩

重厚感があります。神官をモデルにしただけあって、全身に威厳を纏っていますね。

世界最初のストライキは古代エジプトで起きた!? 王家の谷の王墓建設に従事する人々は、労働者、職人、芸術家たちからなり、ピラミッド型のヒエラルキーを持つ共同体を構成していた。記録に残る世界最初のストライキは、彼らへの給与の支払いが遅れたことが原因で起きた。

1500柱の神々 ピラミッド時代には太陽神ラーが台頭し、王は「ラーの息子」として地上を治め、以後、ラーの名前を持つ王が続出します。また、この時代には、冥界の神オシリスの信仰も台頭し始め、『ピラミッド・テキスト』では、オシリスと太陽神の融合も象徴的にほのめかされています。

No.71 オシリス神像 末期王朝時代・第26王朝、前664〜前525年 出土地不詳 硬砂岩

冥界を支配するオシリス神は、神話の中で死後に再生したことで、古代エジプト王たちも同様に、来世で再生できると考えられた。

オシリス神像 末期王朝時代・第26王朝、前664〜前525年 出土地不詳 硬砂岩

小さなお顔が印象的です。顎が尖っていますが、髭を生やしているのでしょうか。歴代の王は、冥界を支配するオシリス神を崇めることで、来世で甦ることができる、と盲目的に信じたのでしょうか。

ファラオの「仕事」 王朝成立以前から、王の最も重要な務めはナイル川の治水ちすい灌漑かんがいの管理で、民が安全に穀物を収穫できるよう努めていました。(前略) 外交や戦争でも王は重要な役割を果たしていました。エジプトは天然の要塞ようさいに守られながらも、他国との交易・同盟、時には侵略によって領土を拡大し、金や香料、木材を確保しています。宗教的には、王は「ホルスの化身けしん」として神格化され、神々と人々をつなぐ存在でした。

No.84 ラムセス2世の石碑 新王国時代・第19王朝、前1279〜前1213年頃 出土地:ヌビア地域 砂岩

石碑の上段には、アメン・ラー神とその妻のムト女神が、ラメセス2世に王権の象徴を授ける場面が描かれている。

ラムセス2世の石碑 新王国時代・第19王朝、前1279〜前1213年頃 出土地:ヌビア地域 砂岩
ラムセス2世の石碑 部分

保存状態が良好です。絵も文字も深く刻まれているので、携わった研究者は解読に手こずることなく、作業が捗ったことでしょう。

No.81 ネフェレトイティ(ネフェルティティ)王妃のレリーフ 新王国時代・第18王朝、前1353〜前1336年頃 出土地:ヘルモポリス・マグナ(推定) 石灰岩、顔料

彩色されたこのレリーフの王妃ネフェレトイティは、独特な青色をした背の高い冠をかぶっている。

ネフェレトイティ(ネフェルティティ)王妃のレリーフ 新王国時代・第18王朝、前1353〜前1336年頃 出土地:ヘルモポリス・マグナ(推定) 石灰岩、顔料

このレリーフも鮮明です。王妃らしい雰囲気を醸し出していますね。

以上16作品をご紹介しました。長々としたブログになってしまいました m(_ _;)m  最後までお付き合い頂き有難うございます。Final Stage は[後編]に譲ります。そちらも是非ご覧ください。

2024.9 | ニュース | 森アーツセンターギャラリー - MORI ARTS CENTER GALLERY
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