皇居三の丸尚蔵館にて《百花ひらく》を鑑賞しました。

展覧会

冒頭は、前期展示 作品No.9《裁縫筥さいほうばこ 並二道具》  昭和3年(1928)/桐、象嵌

会期は3月11日から5月6日まで。予約優先制。入館料は一般1,000円、大学生500円。会期中、一部展示替えがあります。 (前期は4月6日まで、後期は4月8日から)

本展では、花を題材とした11世紀から現代にいたる絵画・工芸・書跡45件を紹介、心浮き立つ春の季節に、作品に込められた花々の美とかたちをご覧いただきます。

開幕10日後に来館。展示作品全てを撮影できます。印象に残った作品をご紹介しましょう。

紫色の文字で表記した箇所は、本展チラシ及び展示室のパネル・キャプションより(一部)引用しました。

通期展示 No.1 七宝四季花鳥図花瓶    並河靖之/ 明治32年(1899)/七宝

明治時代に活躍した七宝家・並河靖之の代表作です。輪郭線となる金線の太さを自在に変えて、桜と青紅葉を中心に様々な花を繊細な有線七宝で表しています。1900年のパリ万博において日本美術を世界にアピールするため、明治天皇の御下命を受けて製作されました。

展示室に入ってすぐのガラスケースに人だかり。撮影を試みたものの、来館者が写り込んでしまうため、一旦諦め、空いた時に戻り、四方から撮影しました。本作は国宝に指定されていないのですね。その事実に驚きがあります。

ガラスケース正面=1辺目から撮影。

開催時季によって展示する正面が変わるのでしょうか。満開の桜が華やか。照明の写り込みを回避できず、残念です。

反時計回りに、ガラスケース2辺目から撮影。

一方から桜の枝、他方から青紅葉の枝が伸びている景観に趣があります。

反時計回りに、ガラスケース3辺目から撮影。

青紅葉に施された色のグラデーションが美しい。黒色に緑色が映えます。居合わせた造詣の深い女性が「有線七宝作品とはとても信じられない」と感嘆。袖すり合うも他生の縁。感動を暫し分かち合いました。

反時計回りに、ガラスケース4辺目から撮影。

飛び交う小鳥が愛らしい。全体に描かれた小鳥は20羽ほど。時に枝に止まり、時に羽ばたき、時に複数で戯れ…。自然界の小鳥が何と生き生きと表現されていることか。

通期展示 No.14−18 ボンボニエール

皇室の御慶事などの際に記念の品として配られる小さな菓子器、ボンボニエールには、皇族方のお印がデザインに多く採用されました。(以下、割愛)

No.14 丸形桜に榮印ボンボニエール 昭和59年(1984) 銀

《丸形桜に榮印ボンボニエール》 昭和59年(1984)

銀製のボンボニエールが3点、陶磁製のボンボニエールが2点展示されています。最も印象的な1点をご紹介しました。花弁の中央に『榮』の文字が認められます。

前期展示 No.20 春草蒔絵棚 新井半十郎、川之邊一朝ほか/明治14年(1881)/木、漆塗、蒔絵

二階厨子にかいずしという古式の形に倣った蒔絵棚で、四側面には赤茶色の漆地に春蘭や福寿草、菜の花、蓮華草、桜草など春の草花を、蒔絵技法に工夫を凝らし、色漆いろうるしも各所に用いて色彩豊かに表しています。(以下、割愛)

《春草蒔絵棚》 新井半十郎、川之邊一朝ほか/ 明治14年(1881)/木、漆塗、蒔絵
《春草蒔絵棚》 部分

第二展示室。この蒔絵棚が先ず視界に入ります。棚正面に施された蒔絵が見事です。

前期展示 No.23 紅白梅図屏風 今中素友いまなかそゆう/大正12年(1923)/絹本金地着色

金地に紅白梅の花がいっぱいに咲く大型の屏風。(中略) 苔は永遠とわにという意味がこめられ、慶事を表しています。大正13年(1924)の皇太子(昭和天皇)の御結婚を祝い、福岡市の有志から献上され、同郷の今中素友(1886〜1959)が手がけました。

《紅白梅図屏風》今中素友/大正12年(1923)/絹本金地着色
《紅白梅図屏風》 右隻(部分)
紅白梅図屏風》 左隻(部分)

六曲一双屏風。右隻に紅梅、左隻に白梅が描かれています。金地の屏風は、それだけで豪華な印象ですが、加えて特大サイズなので、実に壮観です。眺めているだけで運気が良くなりそう…。遠目に、幹の猫写に「たらし込み」が使用されているのかと思いましたが、近くで拝見したら違いました。キャプションを読んで合点。これは苔でしたか。

前期展示 No.25 桜図屏風 跡見玉枝あとみぎょくし/ 昭和7年(1932)/紙本着色

(前略) 本屏風では、左近桜、御車返みくるまがえし桜など計10種が端正に描かれており、多彩な桜の競演が目をひきます。生涯を通じて桜の絵を追求した女性画家の、晩年の代表作といえる一作です。

《桜図屏風》跡見玉枝/昭和7年(1932)/紙本着色

二曲一隻。格調の高い屏風絵です。生涯の代表作、と読み替えても良いかもしれませんね。

《桜図屏風》 部分

傍らの解説(図解)によると、右の白色が左近桜さこんのさくら、左のピンク色が楊貴妃桜ようきひざくら。品種が変わると、こうも趣が異なるのですね。

《桜図屏風》 部分

同じく、右の白色が普賢象桜ふげんぞうざくら、左のピンク色が御車返し桜みくるまがえしざくら。名前の由来にも興味が湧きます。描かれている10種のうち、2種ずつ特定してご紹介しました。

前期展示 No.29 春花生花図しゅんかせいかず 狩野玉園かのうぎょくえん/江戸時代(19世紀)/絹本着色

花生はないけけられた、桜や山吹・牡丹・藤、またすみれ蒲公英たんぽぽなど、春の花々を描いた作品です。(中略) 作者の狩野玉園(1816−80)は、幕末〜明治の狩野派の絵師で、江戸時代には幕府の御用絵師として活動しました。

《春花生花図》 狩野玉園/江戸時代(19世紀)/絹本着色
《春花生花図》 部分

背景色と表装が同じ色調なので、一見すると地味な作品。幕府の御用絵師だけあって、籠や牡丹等々、確かな技巧を駆使して繊細に表現されています。狩野家の家系図をネット検索しましたが、これはというものにヒットせず。

No.30  国宝 動植綵絵どうしょくさいえ

《動植綵絵》30幅のうち、花と小鳥を組み合わせた作品で、画面全体に広がる花々のなかに小鳥など小さな命を描いています。大胆な構図と華やかさが目を引く一方で、花々を細かく描き分けるなど、伊藤若冲(1716−1800)らしい精緻な表現はどの作品にも一貫しています。

後期は《梅花小禽図》《薔薇小禽図》へ展示替されます。小禽(小鳥)が共通の主題ですね。

前期展示 No.30  桃花小禽図とうかしょうきんず

前期展示 No.30  牡丹小禽図ぼたんしょうきんず

《動植綵絵》が非の打ち所のない作品であることは周知の事実。改めて申し上げることはありません。

前期展示 No.38 黒縮緬地乱菊模様振袖くろちりめんじらんぎくもようふりそで 昭和5年(1930)頃/友禅染、刺繍

大輪の菊が華やかに咲くこの振袖は、昭和5年に高松宮宣仁親王との御成婚後の内宴で喜久子妃(1911−2004)が着用したものです。乱菊の模様を友禅染で表し、花弁など部分的にほどこされた刺繍が全体の立体感を引き立てています。

《黒縮緬地乱菊模様振袖》昭和5年(1930)頃/友禅染、刺繍
《黒縮緬地乱菊模様振袖》 部分

※ネット検索しました。AIの解説によると、菊の花びらを大きく、長く描いて乱れ咲いた様子を華やかに表した文様とのこと。

大輪の菊が一際あでやかです。おそらく一度お召しになっただけなのでしょう。単眼鏡をお持ちの方は、部分的にほどこされた刺繍も是非ご覧ください。

前期展示 No.40 萩に鴨図屏風 永齋えいさい/ 明治時代(19−20世紀)/紙本着色

金砂子きんすなごが蒔かれた画面には、水辺の周りに萩、左手前に秋海棠しゅうかいどうが咲き、秋の訪れを告げています。右側には種類も動きも異なる3羽の鴨。秋の爽やかな冷気を感じます。本来、一双屏風で、もう片方には春の藤と躑躅つつじと雀が描かれています。

《萩に鴨図屏風》永齋/明治時代(19−20世紀)/紙本着色

六曲一隻屏風。絵師/永齋の作品は初見です。本来は、春・秋の景観を一双に仕立てた屏風なのですね。風情ある景観に見惚れ、数枚撮影しました。春の景観を描いた屏風もいつか拝見したいものです。

《萩に鴨図屏風》 部分
《萩に鴨図屏風》 部分
《萩に鴨図屏風》 部分

以上、印象に残った展示作品を11点ご紹介しました。観覧時間の目安は1時間前後。相当数、展示替になるようです。後期も是非来館したいと思います。《百花ひらく》展の会期は5月6日まで。

【ふるさと納税】【先行予約】シャインマスカット(種無し)と旬の梨セット 大◇※8月下旬〜9月下旬頃に順次発送予定

価格:24000円
(2025/3/21 19:29時点)
感想(87件)

皇居三の丸尚蔵館 The Museum of the Imperial Collections, Sannomaru Shozokan
皇居三の丸尚蔵館は、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類に加え、故秩父宮妃のご遺贈品、香淳皇后のご遺品、故高松宮妃のご遺贈品、そして三笠宮家からのご寄贈品を収蔵しています。
タイトルとURLをコピーしました