冒頭の写真は、エドガー・ドガ《右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク》1882ー95年 ブロンズ
10月14日まで《空間と作品》展が開催されています。前編に続き、印象に残った展示作品をご紹介します。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
こちらはモデルの両親が依頼主。父のジョルジュ・シャルパンティエは出版社を経営していて文学者や芸術家、政治家を自邸に招いてサロンを開いていました。(キャプションより一部引用)
本展注目作の筆頭に、このルノワール作品を挙げたい。靴下の色をドレスの一色と揃えて、赤いネックレスで娘を飾る依頼主の意気込みが伝わってきます。大人を真似たのか、少女は足を組み、柔らかい眼差しをこちらに向けています。ドレスの一色である青色(系の色)が顔・胸元・腕・足の陰影に使用され、ややもすると不健康に見えがち。反して、血色の良い頬やふっくらした腕は健康そのもの。この矛盾。頬の赤味は、肉筆の方がより目立っていたように思います。
右から順にマネ《自画像》、モネ《黄昏、ヴェネツィア》、マティス《画室の裸婦》の3作品が展示されている壁面を、鑑賞者のいないタイミングで撮影しました。そんなチャンスがあるほど、この美術館は広大です。
クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》
黒木三次旧蔵。フランス滞在中にジヴェルニーのモネ邸を何度も訪れた黒木ですが、こちらは画家から直接購入したと言われます。(キャプションより一部引用)
脳裏に《印象・日の出》を思い描きました。対して本作は、空も海も殆ど橙色に染まる夕暮れが描かれています。画面上方の青色から推して上空も青色。手前の海面はその上空を映しているのでしょうか。これら補色を活用して橙色を引き立てています。修道院らしき建造物の影が海面に長い帯を成し、額縁まで届いています。この増幅された影が特徴的です。
重要文化財 雪舟 《四季山水図》
4幅に春・夏・秋・冬の景色が描かれています。キャプションによると、筑前藩主・黒田家旧蔵。
4幅それぞれ、人間が描き込まれている箇所を撮影しました。
⇧肉眼では気が付きませんでしたが、奥に連れ合いらしき女性の姿も見えます。
⇧小者を供に奥山を訪れた風流人でしょうか。
⇧男性が渓流釣りをしています。
⇧人物が見えますが、性別は判りません。
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アンリ・マティス《縞ジャケット》
110年前のファッションとは思えないほど洗練されていますよね。ジャケットの裾・左袖が省略されているあたりはマティス絵画の特徴でしょうか。
藤田嗣治《ドルドーニュの家》
壁と床の境界・階段は、細い線と僅かな陰影で描き分けられています。遠目に拝見すると、白いリビングルームにしか見えませんが…。黒・茶をアクセントにした対比に魅了されます。人の気配こそありませんが、暮らす環境は調えられているようです。
アルフレッド・シスレー《サン・マメス六月の朝》
シスレーの絵も素敵ですね。中景では、子連れの母親と紳士が立ち話をしているように見えます。肉眼では判りませんでしたが、画像をよくよく拝見すると、その先に、子を抱いた母親がもう一人の子を伴って歩いているような…。その先にも数人歩いていますが、もはや判別不能です。
ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》
モリゾはマネの絵のモデルとしても知られていますよね。描かれているのは、バルコニーの柵にもたれながら傍らの娘を気遣う女性の表情を窺うことのできる一枚。正装した母娘のファッションにも注目したいですね。
パブロ・ピカソ《生木と枯木のある風景》
ピカソと聞けば抽象画を思い描く私としては、この絵は実景に近い印象。つぶさに拝見すると、具象と抽象の中間でしょうか。似たような樹木が描かれ、一方の樹木の枝は全て切られています。枯れているようには見えませんが、葉を繁らせている隣の樹木との違いが際立ちます。第一次世界大戦(終戦)の翌年に制作されたこの作品にどんな寓意性があるのか、気になるところです。
以上、印象に残った8作品をご紹介しました。【前編】では9作品を取り上げております。
《空間と作品》展の会期は10月14日まで。