皇居三の丸尚蔵館で《瑞祥のかたち》を鑑賞。(2025年/新春)

過去の展覧会

冒頭の写真は大手門です。

 過去の展覧会(ダイジェスト版)になります。

1月4日から3月2日まで開催されていました。印象に残った展示作品をご紹介しましょう。尚、茶色の文字で表記した箇所は、展示室内の解説から(一部)引用しました。

宝船たからぶね長崎丸ながさきまる江崎栄造えざきえいぞう/大正5年(1916)/玳瑁、木、蒔絵

大正5年11月に大正天皇が福岡県下を行幸の折、長崎県から献上された鼈甲べっこう 細工の宝船「長崎丸」。(中略) この宝船には、農産物や水産加工物など、長崎県の重要な物産27種類が積まれています。

宝船「長崎丸」 江崎栄造/大正5年(1916)/玳瑁、木、蒔絵

最も魅了された作品。入室した正面のガラスケース内に展示されていました。「玳瑁たいまい」をネット検索。海がめの一種。甲羅をべっ甲細工にする。とのこと。見事な細工に惚れ惚れしました。

蓬莱山ほうらいさん (前略) 蓬莱図は、奈良時代にはすでに、聖武天皇の遺品の中にその名を認めることができます。縁起の良いモチーフとして平安時代から盛んに描かれ、「亀が背負った岩山」という形で定着しています。

小栗判官絵巻おぐりはんがんえまき 巻8上 岩佐又兵衛いわさまたべえ/江戸時代(17世紀)/ 紙本着色

主人公小栗と照手てるての波乱にとんだ恋愛物語を描いた絵巻で、(中略) 展示の場面は、照手の父 横山が小栗を宴に招くところ。

小栗判官絵巻 巻8上 部分

岩佐又兵衛の巻物はたまに拝見しますが、本作の保存状態は殊のほか良好。複数の武士の着物の色・柄が明快に描き分けられていました。

座敷の広縁ひろえんには、蓬莱山ほうらいさんをかたどった松と橘の生えた岩山を背負う大亀の作りものが置かれています。

小栗判官絵巻 巻8上 部分

岩山の重みに耐えかねて咆哮するかのように口を開けた亀の表情に迫力がありました。

岩上鶴亀がんじょうつるかめ 加藤龍雄かとうたつお/大正13年(1924)頃/銀、鋳造

波の打ち寄せる岩に鶴と亀が載る、蓬莱山ほうらいさんを想像させる置物です。

岩上鶴亀 加藤龍雄/大正13年(1924)頃/銀、鋳造

二等辺三角形を想起させるフォルムが美しい。(角度はやや異なりますが、)二羽の鶴が同じ方向を見やる姿から、仲睦まじい様子が伝わってきました。岩に打ち寄せる波の簡潔な造形美も見どころ。

岩上鶴亀 部分

鶴に気を取られて見逃してしまいそうな亀。今にも動き出すかのようにリアルでした。

鳳置物おおとりおきもの  海野美盛うんのよしもり/大正5年(1916)/銀、彫金

空想上の鳥である鳳凰をかたどった金属製置物です。岩上で両翼を広げ、尾羽を逆立てながら力強く鳴く姿を、鋳造や彫刻、象嵌ぞうがんなどの技術を用いて表現しています。

鳳置物 2代海野美盛/大正5年(1916)/銀、彫金

丸みを帯びた尾羽のフォルムによって、個性的な作品に仕立てられています。後ほどご紹介する結城素明《鳳凰之図》の鳳凰も、尾羽が一際強調されています。

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感想(551件)

旭日鳳凰図きょくじつほうおうず 伊藤若冲いとうじゃくちゅう/江戸時代、宝暦5年(1755)/絹本着色

(前略)本作は、明治22年(1889)、西本願寺門主の大谷 光尊こうそんから献上されました。

旭日鳳凰図 伊藤若冲/江戸時代、宝暦5年(1755)/絹本着色

本展を代表する吉祥画といえば、やはり本作でしょう。過去に何度か拝見しているので、初見時の衝撃はありませんが、いつ拝見しても魅了される非の打ち所のない作品。かつて若冲が忘れ去られた時代があったとは俄には信じ難い。

日出処日本ひいずるところにほん 横山大観よこやまたいかん/昭和15年(1940)/紙本着色

昭和15年に開催された「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」の出品作です。生涯に2000点に近い富士山の絵を描いたとされる大観ですが、なかでも本作は最大級の大きさを誇ります。

日出処日本 横山大観/昭和15年(1940)/紙本着色

キャプションにある「紀元二千六百年」が判らずネット検索。1940年に神武天皇即位紀元二千六百年を祝ったようです。1940年は日中戦争の最中でもあり、大観と言えば、国威発揚を意図して富士山✕旭日を描いたことも伝わります。ダイナミックな富士を描いた佳作ですが、純粋に芸術作品を鑑賞するように拝見できない面も。

鳳凰ほうおう―五色にきら めく瑞鳥 鳳凰は、古代中国において、麒麟、亀、龍と共に神秘的な働きをする四霊しれいの一つとされていました。漢の時代になると、鳳凰は仁徳のある君主の政にあたって現れる瑞鳥に転じ、その姿は鶏のような形状で、体は五色に彩られているといいます。

鳳凰之図ほうおうのず 結城素明ゆうきそめい/大正14年(1925)/絹本着色

鳳凰の姿の伝統的な描き方をふまえながらも、鮮やかな色と斬新な感覚で描かれています。(中略)大正天皇大婚25年を祝って、内閣総理大臣以下国務大臣から献上されました。

鳳凰之図 結城素明/大正14年(1925)/絹本着色
鳳凰之図 部分
鳳凰之図 部分

以前拝見した素明作品とは大きく異なり、非常に華やかな一対。吉祥画題に徹した画家の意志が感じられました。

白磁麒麟置物はくじきりんおきもの 12代 酒井田柿右衛門さかいだかきえもん/昭和3年(1928)/陶磁

(前略)潔くムラのない白磁一色で聖なる姿を表現した、12代酒井田柿右衛門の気概を感じさせる作品です。昭和の大礼に際して佐賀県より献上されました。

白磁麒麟置物 12代酒井田柿右衛門/昭和3年(1928)/陶磁

今にも駆け出しそうな躍動感ある作品。まるで炎を全身に纏ったような表現に圧倒されました。光沢のある白磁が新鮮。

七宝鳳凰図暖炉前衝立しっぽうほうおうずだんろまえついたて 大正14年(1925)/七宝、木

片面には岩に留まる二羽の鳳凰、もう一方には深紅の旭日が表されています。(中略)大正14年の大正天皇の大婚25年に際して名古屋市より献上されました。

七宝鳳凰図暖炉前衝立 大正14年(1925)/七宝、木

崇高な鳳凰の表情に魅了されました。構図も色彩も申し分ない。

七宝鳳凰図暖炉前衝立 部分
七宝鳳凰図暖炉前衝立 大正14年(1925)/七宝、木

霞がかった空気感に風情があります。

七宝鳳凰図暖炉前衝立 部分

以上、印象に残った展示作品をご紹介しました。

皇居三の丸尚蔵館 The Museum of the Imperial Collections, Sannomaru Shozokan
皇居三の丸尚蔵館は、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類に加え、故秩父宮妃のご遺贈品、香淳皇后のご遺品、故高松宮妃のご遺贈品、そして三笠宮家からのご寄贈品を収蔵しています。

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