冒頭の画像は、さいたま市/別所沼公園(11月下旬に撮影)。
2025年と2026年を繋ぐ展覧会
以前ご紹介した展覧会⇓ の会期が2026年2月15日まで。念のため掲載しておきます。
♤上野/国立西洋美術館 オルセー美術館所蔵 《印象派ー室内をめぐる物語》2025年10月25日〜2026年2月15日
♤広尾/山種美術館 《LOVE いとおしい…っ!》2025年12月6日〜2026年2月15日
2026年前半を展望する
各美術館の公式サイトから、2026年1月〜6月に始まる展覧会情報を収集してみました。東京(近郊)で開催される数多の展覧会から厳選してご紹介しましょう。以下、開幕日の早い順に掲載します。
♤千葉市/千葉市美術館 開館30周年記念 《ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎・広重を中心に》1月17日〜3月1日

♤上野/東京都美術館🎍《スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき》1月27日〜4月12日
♤京橋/アーティゾン美術館🎍《クロード・モネ―風景への問いかけ》2月7日〜5月24日
♤目黒/松岡美術館 《笑い滴る 春と夏の日本画名品選》2月25日〜5月31日

♤広尾/山種美術館 《花・flower・華 2026―横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅―》2月28日〜5月10日
♤竹橋/東京国立近代美術館 《下村観山展》3月17日〜5月10日

♤上野/国立西洋美術館🎍《北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより》3月28日〜6月14日
♤南青山/根津美術館 《光琳派―国宝「燕子花図」と尾形光琳のフォロワーたち》4月11日〜5月10日
♤新宿/SOMPO美術館 《ウジェーヌ・ブーダン展》4月11日〜6月21日

♤赤坂/サントリー美術館 《ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界》 4月22日〜6月21日
♤六本木/泉屋博古館東京 《ライトアップ木島櫻谷Ⅲ》4月25日〜7月5日

♤上野/東京都美術館 🎍《アンドリュー・ワイエス展》4月28日〜7月5日

♤上野/上野の森美術館 《大ゴッホ展 夜のカフェテラス》 5月29日〜8月12日
♤丸の内/静嘉堂文庫美術館 《元禄!師宣劇場》6月27日〜8月23日

🎍マークは、トコが是非観たいと思う展覧会です。
価格:9000円 |
2025年後半の展覧会を振り返る
2025年7月〜12月に来館した展覧会は15会場ほど。とりわけ感銘を受けた展示作品を振り返ります。各展覧会のブログでは感想を添えていますが、ここでは省略致します。尚、茶色の文字で表記した箇所は、各展覧会場内の解説から引用しました。
♧板橋区立美術館 館蔵品展《狩野派の中の人》(会期:8/23〜9/28)
狩野常信 四季花鳥図屏風 六曲一双 江戸時代(17世紀)
松の背後に滝を配置する構図は室町時代の狩野元信が完成させたもので、右隻と左隻の中心にいる白鷴や錦鶏鳥は探幽の絵にならったことが指摘されています。

左隻左端の岩陰に潜むウサギは、室町時代の画僧・雪舟の作品を写した模本や、雪舟に私淑した雪村周継の作品などにも見られ、雪舟系の花鳥画から勉強した様子もうかがえます。

狩野常信 15歳のときに木挽町家を継ぎ、その後は不遇の時期もありましたが、晩年には探幽しか登りつめたことのない法印(画家としての最高位)に叙任されました。(以下割愛)
♧広尾/山種美術館《江戸の人気絵師 夢の競演》(会期:8/9〜9/28)
歌川広重 名所江戸百景 大はしあたけの夕立 1857(安政4)年 大判錦絵 版元:魚屋栄吉
広重の最晩年を飾る大シリーズ《名所江戸百景》の中でも、本図はオランダの画家ゴッホが模写したことでよく知られる。隅田川下流に架かる新大橋を空中から見下ろした俯瞰的な景観だが、岸を斜めに配したことで、画面に大きな動きが出ている。土砂降りの夕立で遠景が煙る中、対岸の安宅の御船蔵の白壁がかすかに見える。空の雨雲の不規則なぼかしには、摺師の高い技術がうかがえる。

歌川広重 近江八景 1834(天保5)年頃 大判錦絵 版元:保永堂
近江八景は、中国・洞庭湖周辺の景勝地を詩に詠んだ瀟湘八景になぞらえ、琵琶湖南岸の八つの名所を和歌にしたもの。(中略) 保永堂から刊行されたこのシリーズは、もともとは水墨画風の画趣をねらったもので、落ち着いた色調と平明な構図があいまって、浮世絵の近江八景中、もっとも優れた作と評価されている。
東中野/東京黎明アートルーム《柴田是真》(会期:9/26〜11/24)
柴田是真 籠秋草蒔絵菓子盆 江戸時代
是真が30歳前後に自身銘で作った乾山の意匠に着想して光琳蒔絵を意識した作品。
日本橋/三井記念美術館《円山応挙 革新者から巨匠へ》(会期:9/26〜11/24)
円山応挙 雪松図屏風 江戸時代(18世紀)
唯一国宝に指定されている応挙作品。雪と松を描いた本作には、墨・紙・金泥と砂子という最低限の素材しか用いられていない。雪は絵具ではなく、塗り残した紙の白さによって表されている。(以下、割愛)

円山応挙 風雪三顧図襖 江戸時代・18世紀 白鶴美術館所蔵
慣用句の「三顧の礼」の典拠としても知られる、劉備らが諸葛亮の庵を訪ねる『三国志演義』の一場面を描いた作品。(以下、割愛)
円山応挙 梅鯉図 屏風 2曲1隻 天明7年(1787)

伊藤若冲 竹鶏図屏風 2曲1隻 寛政2年(1790)以前

♧丸の内/静嘉堂文庫美術館《静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝》(前期:10/4〜11/9)
菊池容斎 呂后斬戚夫人図 天保14(1843)年
《馮昭儀当逸熊図》を描いた2年後、容斎は同じ体裁で中国後宮における史上最悪の残虐事件を見てきたかのように描く。前漢の高祖 劉邦の皇后・呂后は皇太后となって最高権力を手にすると、息子・恵帝の地位を守るべく、劉邦が生前に寵愛した戚夫人の子を毒殺し、戚夫人の手足を斬り、目をえぐり、厠に投げ込み、ヒトブタと呼ばせた。


♧上野/東京藝術大学大学美術館《藝大コレクション展2025 名品リミックス!》(会期:10/7〜11/3)
橋本雅邦 白雲紅樹 明治23(1890)年

最後に、国立西洋美術館 常設展で感銘を受けた展示作品を2点ほどご紹介しましょう。
♧上野/国立西洋美術館 《常設展》
カルロ・ドルチ 悲しみの聖母 1655年頃 1998年度購入
ドルチは17世紀フィレンツェを代表する画家です。(中略) 本作の主題は、わが子キリストの運命をめぐって悲しみにくれる聖母マリアという極めて伝統的なもので、ドルチはこれを何枚も制作しています。ドルチ本人は敬虔な信仰の人で、生涯聖ベネディクトゥス信者会に属していました。

アントン・ラファエル・メングス エジプト逃避上の休息 1767年頃 2024年度購入

18世紀中葉のローマで活躍したドイツ出身の新古典主義の画家メングスは、1761年よりスペイン国王付きの宮廷画家としてマドリードに渡ります。本作は彼のスペイン時代、国王カルロス3世の弟ドン・ルイス親王のために描かれました。主題は聖家族のエジプト逃避上の休息を表したものですが、ヨゼフは後景にたたずみ、画面は実質的に聖母子図として構想されています。(以下、割愛)
2025年/後期の展覧会を主軸に、簡単に振り返りました。
