上野/国立西洋美術館《常設展》第3弾を投稿。(2025年/初冬)

展覧会

数日前 ⇓ネット記事で知り、遅まきながら来館することに。企画展開催中の週末とあって、チケット売場(窓口3箇所)は長蛇の列。15分程並び、常設展チケット(観覧料:一般500円)を購入しました。

国立西洋美術館、常設展で公開のクリムト風景画が話題に|art NIKKEI
"国立西洋美術館、常設展で公開のクリムト風景画が話題になっている。田中館長に西洋美術館が進める常設展の拡充についてインタビューした。

新収蔵作品・期間限定展示作品を中心にご紹介しましょう。先のブログ(第1弾・第2弾)でご紹介した作品の掲載は割愛します。また、先のブログで取り上げなかった作品を数点掲載します。尚、青緑色で表記した箇所は、展示室内の解説から一部引用しました。

◇新収蔵作品 クリストフ・アムベルガー   バルバラ・シュヴァルツの肖像 1542年 油彩/板 2025年度購入

(前略) 本作は、同地(南ドイツの金融都市アウクスブルク)に住んでいた高官マテウス・シュヴァルツの妻バルバラを描いた作品で、夫の肖像(マドリード、ティッセン=ボルネミッサ美術館)との対作として1542年に制作されました。(中略) 画面右上には銘文と共に占星術のホロスコープが記されています。(以下、割愛)

クリストフ・アムベルガー《バルバラ・シュヴァルツの肖像》  1542年 油彩/板 2025年度購入

端正な作品。服装から、男性をモデルにした肖像画かと思いました。中世の貴族男性も、長く伸ばした髪を背中に垂らしていたんですよね、確か。

◇新収蔵作品 ルカ・ジョルダーノ マギの礼拝 1687−89年頃 油彩/カンヴァス 2025年度購入

(前略) 主題は、マギと呼ばれる3人の賢者たちが贈り物を持ってイエス・キリストの誕生を祝いに訪れた場面です。中央に聖母子が座し、彼らを取り囲むように賢者たちとその従者たちが、そしてさらにその周囲には見物に詰めかけた多くの群衆や天使たちまでもが描かれ、このめでたき場面にふさわしい祝祭的な雰囲気が演出されています。(以下、割愛)

ルカ・ジョルダーノ《マギの礼拝》1687−89年頃 油彩/カンヴァス 2025年度購入
ルカ・ジョルダーノ《マギの礼拝》 部分

幼子イエスに贈り物を捧げる賢者(黒人)が画面の中心に描かれています。賢者を見つめるイエスは、祝辞に応えるかのように右手を上げています。我が子を膝に抱いたマリアは沈んだ表情を隠さず、この祝祭の場に臨んでいます。画面下部に描かれている鞍を付けた3頭の白馬が賢者たちを乗せてきたのでしょうか。天使たちから発した(ように見える)数条の光が幼子イエスに降り注いでいます。本作最大の見どころは、明暗の対比かと思います。

フランドル聖人伝板絵 100年越しの再会  会期:10月25日から2026年5月10日

ベルギー、ブリュージュのフルーニング美術館と国立西洋美術館には、キリストの使徒、大ヤコブの生涯の物語場面を描いた板絵がそれぞれ所蔵されます。(以下、ブリュージュ作品・東京作品)。両作品は1909年当時、ロンドンのファー画廊にありました。その後、ブリュージュ作品は1911年までにパリのクラインベルガー画廊へ移り、1912年にフルーニング美術館に入っています。(中略) 東京作品は20世紀初頭に松方幸次郎によって購入され、日本に送られました。そしてその後、国内の個人コレクションを経て、2017年に国立西洋美術館に取得されています。(以下、割愛)

展示風景

2作品とも、金の装飾枠や聖人の光輪には金箔が使われているとのこと。華やかに装飾した枠が場面転換に使われています。日本画の巻物のように、時間的経過を伴う場面転換とは異なるため、枠を採用することで、場面、場面を独立させているのですね。

「大ヤコブ伝」とは 2作品は、キリスト教の聖人、大ヤコブの生涯にまつわる物語を主題とします。大ヤコブはキリストの十二使徒のひとりで、同名の別の使徒と区別するために「大」ヤコブと呼ばれます。(中略) 大ヤコブは、弟の福音書記者ヨハネとともに、キリストの弟子として行動を共にし、キリストの死後はその教えの普及に努めました。(以下、割愛)

◇作者不詳 聖ヤコブおよび聖ヨハネ伝の諸場面 1525年 油彩/板 ブリュージュ、フルーニング美術館

画面左の区画には、ガリラヤ湖の漁師であった大ヤコブが、キリストの弟子に選ばれる召命の物語が描かれます。岸辺から呼びかけるキリストに対して、大ヤコブは、小舟の上から漁網を手にしたまま応えています。そのとなりで横顔を見せるのは、大ヤコブの弟、福音書記者ヨハネです。彼もまた兄とともにキリストに帰依することとなります。(以下、割愛)

左:赤外線反射画像  右:《聖ヤコブおよび聖ヨハネ伝の諸場面》 1525年 油彩/板 ブリュージュ、フルーニング美術館

赤外線反射画像と作品とを比較してみましょう。

赤外線反射画像 部分

赤外線反射画像では、肉眼では見えにくい下描きを可視化することができます。(中略) ブリュージュ作品の右側区画でも、当初キリストは横向きで大ヤコブは現在よりもキリストの方向を向いており、キリストと大ヤコブと聖ヨハネの3人の視線が合うような構図であったのに、キリストと大ヤコブは鑑賞者に対して正面向きに近い角度に描き直されています。

作者不詳《聖ヤコブおよび聖ヨハネ伝の諸場面》 部分

青い衣をまとった人物が大ヤコブですね。隣が聖ヨハネでしょうか。

◇作者不詳 聖ヤコブ伝 油彩/板 国立西洋美術館 旧松方コレクション

大ヤコブによる魔術師ヘルモゲネス改宗の物語が、2場面にわたって展開します。まず画面左の区画では、大ヤコブのもとに、悪霊たちによってヘルモゲネスが連行されてきています。(中略) 続く右の区画では、悪霊の怒りを恐れるヘルモゲネスに、大ヤコブが自らの杖を護符として与えています。杖は早くも効力を発揮しており、怯えた悪霊たちがこそこそと逃げ出しています。(以下、割愛)

左:作者不詳《聖ヤコブ伝》 油彩/板 国立西洋美術館 旧松方コレクション  右:赤外線反射画像

赤外線反射画像と作品とを比較してみましょう。

赤外線反射画像 部分

(前略) 東京作品では手前に描かれている4つの人物像すべてにおいて顔の向きや位置が変更されていることがわかります。右側区画では当初、大ヤコブとヘルモゲネスが横に向かい合った構図であったのを鑑賞者に対して正面向きに描き直すという大きな構図変更がなされています。(以下、割愛)

作者不詳 《聖ヤコブ伝》 部分

鑑賞者に対して正面向きに描き直すよう、注文主から強制されたのでしょうか。この構図は不自然ですよね。

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感想(20件)

◇ヘーラルト・ダウ シャボン玉を吹く少年と静物 1635−36年頃 油彩/板 1981年度購入

(前略) ここに描かれる、シャボン玉、髑髏、砂時計といったモチーフは、人生の虚しさ、無常観を暗示する「ヴァニタス」を表しています。シャボン玉遊びをする少年の背には翼があり、亡くなった少年を天使として描くことで哀悼の意を表しているのかもしれません。(以下、割愛)

ヘーラルト・ダウ《シャボン玉を吹く少年と静物》 1635−36年頃 油彩/板 1981年度購入

小品ながら完成度の高い作品です。今夏拝見した時は見過ごしてしまったかしら。漆黒の背景に紛れ、少年の背にある翼を識別することは叶いませんでした。少年の真剣な表情を拝見すると、シャボン玉を通して異世界を覗き込んでいるかのよう…。編み込まれた籠といい、モチーフの表現もまた見事です。

ヘーラルト・ダウ《シャボン玉を吹く少年と静物》 部分

◇ポール・セザンヌ 散歩 1871年 油彩/カンヴァス 井内コレクションより寄託

(前略) モデルはおそらく画家の二人の姉妹で、その構図と衣装は、パリのファッション雑誌『ラ・モード・イリュストレ』に掲載された図版のそれを基にしています。(以下、割愛)

ポール・セザンヌ《散歩》 1871年 油彩/カンヴァス 井内コレクションより寄託
ポール・セザンヌ《散歩》 部分

拝見した途端、セザンヌと判る作品ですよね。緑陰を敢えて黒っぽい色で表現することで、日差しの強い季節であることを想像させます。

◇エドゥアール・マネ 嵐の海 1873年 油彩/カンヴァス 旧松方コレクション 2019年度購入

(前略) 本作は複数の画商の手をへたのち、ナチス・ドイツの協力画商ヒルデブラント・グルリットの手に渡ります。近年グルリット旧蔵の絵画約1,500点がミュンヘンとザルツブルクの息子の家で発見され、そこにナチス政権時の略奪美術品が含まれていたことから世界的注目を集めました。(以下、割愛)

エドゥアール・マネ 《嵐の海》 1873年 油彩/カンヴァス  旧松方コレクション 2019年度購入

本作にそんな逸話があったとは!キャプションを読んだ後に拝見すると、荒天の航海が不穏な時代の到来を暗示しているようでもあり…。

エドゥアール・マネ 《嵐の海》 部分

《エミール・ゾラ》(1868年)、《ピアノを弾くマネ夫人》(1868年)、《バラ色のくつ(ベルト・モリゾ)》(1872年)を企画展《印象派》で先月鑑賞。マネ作品に対する私の偏見は取り払われました。荒涼とした素朴な風景画をも描いていたことに感銘を受けました。

◇初展示作品 クロード・モネ 睡蓮 1897−1899年頃 油彩/カンヴァス

モネがジヴェルニーの自邸の庭の池に咲く睡蓮を初めて描いたのは、1897年頃のこととされます。この頃すでに彼は小規模ながら睡蓮の装飾画の構想を心に抱き、その習作の制作に着手していました。本作は、その最初期の〈睡蓮〉と推定される、現存する8点の作品のひとつです。(中略) また本作は、睡蓮の花の反映像が描かれている点でも、大変珍しい作例です。

クロード・モネ 《睡蓮》 1897−1899年頃 油彩/カンヴァス

モネの《睡蓮》は、昨秋の企画展で沢山拝見したせいか、やや食傷気味です。展示室で拝見した時は、睡蓮の花の反映像が描かれている点に気が付きませんでした。改めて画像を拝見すると、むしろ初期に描かれた本作《睡蓮》の方が素敵ではありませんか。

版画素描展示室において、2026年2月15日まで《デューラー》展が開催されています。当ブログでは割愛致します。

◇初展示作品 グスタフ・クリムト アッター湖の島 1901−1902年頃 油彩/カンヴァス 寄託作品

(前略) クリムトの死後を含めて二度のウィーン分離派展に出品されたこの絵画は、先行して1900年に描かれたよく知られた同主題作品(ウィーン、レオポルト美術館)と造形的課題を共有しつつ、それをさらに展開し、より抽象化を遂げた一作です。(中略) また、反復的でありながらも均質ではない無数の短いブラッシュ・ストロークが湖面の波紋を表わすとともに絵画に律動をもたらします。(以下、割愛)

グスタフ・クリムト《アッター湖の島》 1901−1902年頃  油彩/カンヴァス 寄託作品

解説がやや難解です🥴 造形的課題とは? 均質ではない無数の短いブラッシュ・ストロークとは?『ブラッシュ・ストローク』について詳述しているサイトのリンク⇓ を貼っておきます。

ブラッシュ・ストローク – artscape

画面上部から下部に向かって、高倍率で撮影しました。照明の映り込みをご容赦ください。それにしても、本作の構図は大胆ですね。タイトルに島を謳っていながら、肝心の島は辛うじて画角に入っている程度です。

グスタフ・クリムト《アッター湖の島》 部分

中景(画面真ん中あたり)になると、遠景では溶け合って見えた色の一つ一つが識別できるようになります。緑色のブラッシュストロークが目立ちますね。

グスタフ・クリムト《アッター湖の島》 部分

近景のブラッシュ・ストロークは更に大胆です

グスタフ・クリムト《アッター湖の島》 部分

本作を拝見するために来館したようなものなので、じっくり鑑賞することができて満足です。郷さくら美術館で昨年鑑賞した那波多目功一さんの作品をふと連想しました。

観覧の目安は、版画素描展示室も含めて2時間前後。企画展開催期間中であれば、週末であっても、常設展の方はそこまで混雑しないと思います。但し、チケット購入にかかる時間(最大20分程度でしょうか)も加味しましょう。

黄葉したイチョウを背景に、ロダン《考える人》を撮影。

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