乃木坂/国立新美術館にて【ルーヴル美術館展 ルネサンス】を鑑賞。(2026年9月)

展覧会

♦主催 : 国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ

♦会期 : 2026年9月9日から12月13日まで

エントランスへ向かう多くの来館者 (帰路、撮影)

開幕2日目に来館しました。開館時刻の20分前に到着。想定内ですが、既に200人ほどの行列ができています。受付でQRコードを提示して入場。台に置かれた出品リストを手に取ります。

章立ての構成。展示室内を撮影することはできません。章に沿って、ランダムに作品をご紹介しましょう。あまりに混雑していたため、思うように鑑賞できず、佳作であっても端折ってしまいました。

茶色の文字で表記した箇所は、展示室内の解説より一部引用しました。(各章の解説については、公式サイトに同文が掲載されています。) 久々に音声ガイドを利用しました。ナビゲーターは女優の北川景子さん。滑舌が良く聴きやすいですよ。ピンク色の文字で表記した箇所は、音声ガイドの解説より(一部)引用しました。

第1章 旅

15世紀から16世紀にかけてのルネサンス期は、ヨーロッパの人々が「旅」を通じて既知のものとは異なる世界を発見していった時代でした。商業、交易、外交、教育、戦争 ― 旅の動機は様々でしたが、人と物の活発な往来は国や都市に経済の発展をもたらし、ルネサンス文化を大きく開花させる動力となりました。(以下、割愛)

🔷No. 1 ヴェネツィアの画家 ヴェネツィア共和国の使節団を迎えるダマスクス総督 1511年頃 油彩/カンヴァス

(前略) 描かれているのは外交の場面。ヴェネツィア共和国の使節団がダマスクス総督に謁見しているところです。門の左側にいる、赤いガウンを羽織った1人の男性と黒い長衣を着た5人の男性が、ヴェネツィアの使節たちです。こちらに背を向けて立つ通訳の男性が、低い台に座ったダマスクス総督に使節たちを紹介しています。(以下、割愛)

ヴェネツィアの画家《ヴェネツィア共和国の使節団を迎えるダマスクス総督》1511年頃 油彩/カンヴァス (ポストカードを撮影)

画面の右半分に、ヴェネツィア共和国の使節団がダマスクス総督に謁見する儀式が描かれています。門内のみならず、往来に整列した人々も、歓迎の意を表している様子。キャプションを読まないまま拝見すると、画面左半分に描かれた、立ち話をする人・商人と客・驢馬に乗って行く人…そちらに視線が向かいます。厳かな儀式と日常の営みが両立している点に、主要都市の自由な気風を窺うことができますね。

🔷No.4 アルブレヒト・デューラー サ イ 1515年(初版) 木版

時は大航海時代を迎えた1515年5月。一頭のサイがインドのゴアからリスボンの港へ、ポルトガルへの贈り物としてはるばる旅をしてきました。 (中略) デューラーはリスボンでサイを目撃した人の記録と簡単なスケッチだけを頼りにご覧のサイを描きました。(以下割愛)

アルブレヒト・デューラー 《サ イ》 1515年(初版)木版 (ポストカードを撮影)

日頃から観察している対象を描くかのように、精緻な描線で、未知の動物を表現しています。技量のみならず、確信に満ちた表現者の迫力が鑑賞する側に伝わってきます。

🔷No.11 南ネーデルラント(?) 田園の合奏 16世紀第1四半期 羊毛、絹

石造りの建物の壁を飾る豪華なタペストリーは、保温効果を持ち、間仕切りに使うこともできた実用的な装飾品でした。また、持ち主が移り住む時に取り外して運べることもタペストリーの利点でした。本作品のようなミル・フルール(千花模様)のタペストリーは、部屋の壁全体を覆うために、何枚かのシリーズとして制作され、多くの場合、貴族の生活と関連する場面が表されました。(以下、割愛)

南ネーデルラント(?) 《田園の合奏》 16世紀第1四半期 羊毛、絹  (ポストカードを撮影)

大判のタペストリーです。当時の用途を興味深く拝読しました。

第2章 技法の革新と洗練

ルネサンスの芸術の展開は、技法の革新と表裏一体でした。ヨーロッパ北部では、油彩技法の発展に加えて、時計の製造と版画芸術にも技術革新が起こりました(以下、割愛)

🔷No.13 ピエール・クルテ 中央に突起のある丸皿「大地と海」 1568年 エマイユ画/銅

鮮やかな青色で海を、緑色で大地を表現しています。同様に鮮やかな赤茶色で、動物・道具・布等を表現しています。神話の世界を描いた見事な図柄に魅了されました。(公式サイト『GALLERY』で画像をご覧になれます。)

🔷No.19 アルカントニオ・ライモンディ ラファエロ・サンツィオの原作に基づく パリスの審判 1513−1518年頃 ビュラン

混雑を避け、遠くから拝見しました。遠目であっても、上手いなあ…と感心する美しい描線でした。

🔷No.21 フランス、おそらくパリ「田園風陶法」による楕円水盤 1600−1650年 施釉テラコッタ

※ 公式サイトに『田園風陶法』についての記述が掲載されています。抜粋しますと、陶工ベルナール・パリシーが開発。パリシーは、実際の動植物から取った型を用いて、実物そっくりの生々しい装飾を陶器に施すことに成功しました。

本作も来館者の注目を集めていました。私も興味深く拝見しました。キモいけど美しい…という独特な美意識が当てはまる作品。水盤の中央には、模様のようにデザイン化されたヘビと貝。淡水域に生息する生き物でしょうか。周囲に水流が描かれ、魚が象徴的に配されています。水盤を縁取る植物と共に、両生類(カエル)・爬虫類(トカゲ)・昆虫類(トンボ等)といった生き物も表現されています。

🔷No.22 フランス、おそらくパリ 「田園風陶法」による水差 1600−1650年 施釉テラコッタ

両生類(イモリ)か、はたまた爬虫類(ヤモリ・トカゲ)か、区別がつきません💦 あたかも身を潜めるように、水差しの2箇所に貼り付いています。美しい水差しだけに、奇怪なデザインにドキッとします。

第3章 古代へのまなざし

ルネサンスにおける古代復興、すなわち古代ギリシア・ローマの文化を規範として再評価する動きは人文学の分野で始まり、次第に芸術にも広まりました。(以下、割愛)

🔷No.31 サンドロ・ボッティチェリ 5人の天使に囲まれる聖母子 1470年頃 テンペラ/板(ポプラ)

サンドロ・ボッティチェリ《5人の天使に囲まれる聖母子》 1470年頃 テンペラ/板(ポプラ)  (ポストカードを撮影)

この作品は、15世紀後半のイタリア・ルネサンスを代表する画家ボッティチェリが、自身の工房を構えて間もない20代半ばに描いたものと考えられています。地面に座り、幼子イエスを膝上に抱く聖母マリアの図像は「謙遜の聖母」と呼ばれ、15世紀前半にイタリアからヨーロッパに広まりました。聖母は原罪の象徴であるザクロを片手に持ち、イエスに差し出しています。(以下、割愛)

本当にボッティチェリの作品? と一瞬思ってしまいました(^_^;) ネット検索をしながら記憶を辿ると、Bunkamuraザ・ミュージアムで2015年に開催された【ボッティチェリとルネサンス展】か、東京都美術館で2016年に開催された【ボッティチェリ展】に来館したはず…なのですが、どうも曖昧です。ポストカードが手元に残る《東方三博士の礼拝》(制作1475〜1476年頃)を拝見した記憶は辛うじてあります。その中央に描かれた慈愛に満ちた聖母マリアの表情と比較すると、本作のマリアには険があり、やや違和感を覚えました。

🔷No.32 ラファエロ・サンツィオ ジュリオ・ロマーノ 豊穣 または ケレス 1517−1519年頃 油彩/板

中央には古代の豊穣の女神ケレスの像。尽きることなく穀物や果物が溢れる豊穣の角を抱えています。こちらは持ち運びできる小型の祭壇画の扉でした。女神を描いたこの絵をスライドさせると現れるのが、隣の作品。

🔷No.33 ラファエロ・サンツィオ ジュリオ・ロマーノ 聖母子と聖エリサベト、洗礼者聖ヨハネ 通称 小さな聖家族 1517−1519年頃 油彩/板

聖母マリアと幼子イエス、洗礼者聖ヨハネ、その母エリサベトが、安定感のあるピラミッドの構図で表されています。衣の青色に使われているのは高価なラピスラズリ。(中略) この注文を受けた頃のラファエロは30代半ばを過ぎて多忙を極め、絵画の構想は自ら練っていたものの、こちらの2点もラファエロの最も有能な助手だったジュリオ・ロマーノが大半を描いたのではないかと考えられています。

遠目にも魅了されるほど、クリアで完成度の高い作品です。この壁面の並びは混雑していたので、ひょいと覗いた程度です。キャプションを読むことも叶わず、ご覧のように、音声ガイドの解説が頼り。ラファエロ作品も過去に数点拝見しています。手元に残るポストカード《エゼキエルの幻視》(制作1510年頃)は厳粛で重厚な作品。有能な助手に支えられた環境で、ラファエロは自ら描きたい作品に集中できたのではないでしょうか。

🔷No.35 ニコロ・デッラバーテ 夫マウソロスの遺灰を飲もうとする王妃アルテミシア(?) 1555年頃 油彩/カンヴァス

楕円形の金色の額縁が特徴的。透ける布を素肌に纏った女性が、挑発的にも見える憂いある視線をこちらに向けています。音声ガイドによると、ワインに混ぜた夫の遺灰を飲もうとする場面。凝った作りの器を持つ両手の指には神経が行き届き、これから手品を披露するかのように鑑賞者の視線を誘います。

第4章 肖像芸術の隆盛

(前略) 神が創造した世界のなかに、意志を有する人間の存在をどう位置づけるべきか、人文主義者たちが考察を深めるにつれて、身体的にも内面的にも固有の特性を備えた「個人」という概念が形作られていきます。(中略) こうした流れのなかで大きく花開いたのが、肖像芸術でした。(以下、割愛)

🔷No.42 バッチョ・バンディネッリ ミケランジェロの肖像 1522年頃 油彩/板(ポプラ)

頭にターバンを巻いたミケランジェロがモデル。正面を見据えた厳格な表情にハッとします。解説によると、作者バンディネッリはミケランジェロに強烈なライバル心を抱いていたとのこと。本作品はミケランジェロが47歳の頃、つまり両者の関係がまだ良好だった頃に制作されたとのことです。

🔷No.44 フランス 畝織りのボンネットと襞襟を身に着けた少女 1550−1574年 大理石

ルネサンス期の肖像芸術では、子どもは当初、家族の一員として表されることが一般的でした。しかし、時代が下るにつれて、子どもを単独で取り上げた肖像がぽつぽつと見られるようになります。 (以下、割愛)

ガラスケース周囲が比較的空いていたので、じっくり拝見しました。モデルは上流階級のお嬢さんでしょうか。早逝した娘の姿を再現した可能性もあるとか。そうした事情は脇に置いて、当時の流行を反映した服飾品(造形)を拝見するのも楽しいですよね。

彫刻部門から出品された作品は、遠目に見ても完成度が高い、という印象を持ちました。勿体ないことに、混雑していたため幾つか飛ばしてしまいましたが…。

🔷No.49 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ フランソワ1世の肖像 1538年頃 油彩/カンヴァス

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《フランソワ1世の肖像》1538年頃 油彩/カンヴァス (ポストカードを撮影)

ここに描かれるのは、44歳頃のフランス国王フランソワ1世。イタリアの芸術家たちをフランスに招き寄せるなどして、芸術の発展に大きな役割を果たした君主としても知られます。レオナルド・ダ・ヴィンチを高く評価し、晩年のレオナルドをフランスに招いたのもフランソワ1世でした。この肖像の作者は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ。彼の友人で詩人のアレティーノが王に贈呈するために注文したものでした。当時、肖像画は四分の三正面観が一般的になっていましたが、王は何故か横顔。それは、ティツィアーノがこの絵を描く時、フランソワ1世に会う機会がなく、王の横顔を刻んだメダルを参考にするしかなかったからです。

王の横顔を刻んだメダルを参考に描いたとは!! フランソワ1世に似ていたかどうかは別として、再現性が高過ぎます。同じ展示室内に展示されたメダルは、かなり大振り。フランソワ1世のメダルとなれば、同等以上でしょうから、目鼻立ちもはっきり表現されていたのではないかと推察します。

🔷No.52 ジャン・クリストフォロ・ロマーノ ベアトリーチェ・デステ 1490−1491年頃 大理石

端正な彫像です。来館されたら、是非、脇のキャプションも読んでみてください。私は電池切れのようになって、ノートに転記する元気も残っていませんでした。

🔷No.56 レオナルド・ダ・ヴィンチ 女性の肖像 1490−1497年頃 油彩/板(クルミ)

レオナルド・ダ・ヴィンチ 《女性の肖像》 1490−1497年頃 油彩/板(クルミ) (ポストカードを撮影)

本展のメイン・ビジュアル。本作を観たいと思って上京しました。ですが…

【Ⅳ展示室】前室に設置された大スクリーンで、作品を解説した映像(割愛したため、内容は不明。) を見ることができます。スクリーンの反対側には【《女性の肖像》を正面から観られる列】。その時の待ち時間は40分前後だったかな。「正面以外からも観られます?」とスタッフに尋ねたら「はい」という返答。並びかけた列を離れました。

【Ⅳ展示室】に入室すると、うねうねした規制線が設けられ、行列の目指す先に、レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》が燦然と輝いていました。人数を絞って前室から誘導しているので、列の途絶えた後尾にコソッと並ぶことができるかも…という良からぬ考えがよぎりましたが、流石にそんなズルはできません。

縦長にうねうねした規制線の左側にスペースがあり、作品からやや離れていますが、斜め左方から鑑賞することができます。このスペースで鑑賞する来館者が少なからずいて、私も倣いました。拝見した刹那《白貂を抱く貴婦人》を連想しました。作者は何れもレオナルド・ダ・ヴィンチ。当然と言えば当然です。ただ、何度か拝見していた画像からは連想しなかったので、肉筆画を目にした途端、唐突に想起した脳のしくみに驚きました。肉筆画を鑑賞する体験は別物なのだ、という思いを新たにしました。

観覧に要する時間は、来館するタイミングによって、また、レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》をどのように鑑賞するかによって、大幅に変わってきます。

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余談①― せっかく開館時刻前に到着したのに、戦略を持たず失敗しました😓 一路【Ⅳ前室】へ向かい、【《女性の肖像》を正面から観られる列】に並ぶべきでした。

余談② コンディションを調えて来館しましょう。休憩コーナーは展示室内に(多分)1箇所しかなく、1人2人離席するのを数分待って腰掛けました。前夜の睡眠不足が祟り、歩調も遅く、頭も冴えず、道中も遅れをとり…(^_^;) 歳を実感する一日でした。

余談③― 角野隼斗さんの2枚組CD(SONY/税込4,400円)を購入しました⇩『DISC1』はショパンの曲を主軸とした構成。角野さんが作曲した展覧会テーマ曲《Forma》が『DISC2』に収められています。

左:特典として貰える小ポスター。裏面はCDと同じビジュアル。

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