日本橋髙島屋(本館8階ホ―ル)にて《スティグ・リンドベリ展》を鑑賞。

展覧会

冒頭は[ピィンタ]装飾、[LL]モデル/チーズボード 1957年/モデル、1962年/装飾 デカル

会期は8月21日から9月7日まで。スティグ・リンドベリ展実行委員会主催。入場料は一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料。タカシマヤ友の会会員は『会員証』を提示すると無料になります。

日本橋髙島屋/本館1階

本展は章立ての構成です。印象に残った展示作品をご紹介しましょう。尚、緑色の文字で表記した箇所は、展示室内の解説より(一部)引用しました。

1.テーブルウェア 1940−1980

(前略) 1938年に自身が初めてデザインを手がけたティーセット[カデット]が1941年に製品化され、続く1944年には彼が初めて手がけたテーブルウェアの[LA]モデル、1945年にはボーンチャイナ製の[LB]モデルが発表されました。(以下、割愛)

展示風景

[ピィンタ]装飾、[LL]モデル/サービングセット:角皿、シリンダー形鉢、ピッチャー、トレイ 1957年/モデル、1962年/装飾 デカル、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

ピィンタ]装飾、[LL]モデル/サービングセット:角皿、シリンダー形鉢、ピッチャー 1957年/モデル、1962年/装飾 デカル、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

可愛らしい絵柄が施されています。あまり関連性のないモティーフに思えますが、よく調和しています。

[ピィンタ]装飾、[LL]モデル/サービングセット:トレイ 1957年/モデル、1962年/装飾 デカル、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

このトレイの用途は、取り皿でしょうか。こんな可愛らしいお皿だったら、テンションが上がりそうです。

展示風景

[サリックス]装飾・レッド、[SE]モデル/コーヒーセット:皿、カップ&ソーサー、クリーマー、砂糖入れ 1953年/モデル、1954年/装飾 プリント、ボーンチャイナ グスタフスベリ磁器工房

[サリックス]装飾・レッド、[SE]モデル/コーヒーセット:皿、カップ&ソーサー、クリーマー、砂糖入れ 1953年/モデル、1954年/装飾 プリント、ボーンチャイナ グスタフスベリ磁器工房

このお皿にケーキを切り分けたのでしょうか。こんな美しいお皿に盛り付けたら、どんなお菓子でも美味しくなりますよね。

[ティング]装飾、[SP]モデル/ティーセット:砂糖入れ、ティーポット、クリーマー、カップ&ソーサー 1959年/モデル、1960年/装飾 プリント、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

NK百貨店向けの特注品。

[ティング]装飾、[SP]モデル/ティーセット:砂糖入れ、ティーポット、クリーマー、カップ&ソーサー 1959年/モデル、1960年/装飾 プリント、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

このティーセットも、シンプルながら素敵!ポットといい、カップ&ソーサーといい、模様の施し方にもセンスを感じます。

展示風景

[ブロー・ヒュサール]装飾、[LL]モデル/ディナーセット:バターボックス、長方形皿、ティーポット、エッグカップ、ピッチャー 1957年/モデル、1968年/装飾 プリント、にじみブルー釉、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

[ブロー・ヒュサール]装飾、[LL]モデル/ディナーセット:バターボックス、長方形皿、ティーポット、エッグカップ、ピッチャー 1957年/モデル、1968年/装飾 プリント、にじみブルー釉、フリントウェア グスタフスベリ磁器工房

紺色の色彩から模様が浮き出ています。この独特な紺色にも魅了されました。

2.「H55」(国際建築工業デザイン博覧会)

1930年に開催されたストックホルム博覧会を後継する展覧会が、1955年の夏にスウェーデン南部の都市ヘルシンボリで開催されました。(中略) この時グスタフスベリ磁器工房は数々の新製品を発表、その成功の中心にはスティグ・リンドベリの存在がありました。(中略) 1954年、リンドベリは「H55」に向けて[ドミノ]シリーズも発表しました。このシリーズは灰皿、シガレットホルダー、花入で構成されており、一部には「H55」のロゴが入っています。デザインは黒と白のコントラストが特徴的で、他にも茶色、黄色、緑色のバリエーションも取り揃えられていました。

[ドミノ]シリーズ/アートウェアセット:大型灰皿 1954年/デザイン、1955年/発表、オリジナルは、黒と白の組み合わせ。1956年よりブラウンと黄色、淡い緑色で製造された。レリーフ装飾、炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

[ドミノ]シリーズ/アートウェアセット:大型灰皿 1954年/デザイン、1955年/発表

こんな凝ったデザインの灰皿が実用化されていたとは!

✧[テルマ]シリーズ/クッキングセット:調理鍋、フライパン 1955年

[テルマ]シリーズ/クッキングセット:調理鍋、フライパン    1955年

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3.ファイアンス

[ファイアンス]という言葉はイタリアの都市ファエンツァに由来し、この都市では1500年代後半から特別な種類の陶器が製造されていました。(中略) 1942年に開催された展覧会「春に描かれたファイアンス」は、第二次世界大戦の最も激しい戦闘が繰り広げられていた時代背景のなか、圧倒的な成功を収め、スティグ・リンドベリの名前が初めて広く世間に知られるようになりました。この成功はやがて「グスタフスベリ・スタジオ」の設立へとつながり、全盛期には、ファイアンス製品が世界中に輸出されていきました。(以下割愛)

顔図大鉢 1940年代中頃 スティグリンドベリ自身が絵付をしたユニークピース。 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

顔図大鉢 1940年代中頃 スティグ・リンドベリ自身が絵付をしたユニークピース。ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

手付大型花入 1940年代 スティグ・リンドベリ自身が絵付をしたユニークピース。 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

大胆な絵柄の《顔図大鉢》《手付大型花入》を興味深く拝見しました。工房ではなく、リンドベリ自ら絵付をされたのですね。非の打ち所のない製品も魅力的ですが、手作り感のある作品にも親しみを覚えます。

手付雄鶏図花入 1940年代 スティグ・リンドベリ自身が絵付をしたユニークピース。 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

手付雄鶏図花入 1940年代 スティグ・リンドベリ自身が絵付をしたユニークピース。 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

《手付雄鶏図花入》は、先の《顔図大鉢》《手付大型花入》と同じ1940年代の作品ですが、より洗練されています。

展示風景

[カーニバル]シリーズスタイル/鳥図板 1962年 絵付:不詳 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

[カーニバル]シリーズスタイル/鳥図板 1962年 絵付:不詳 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

モティーフとなった鳥の種類は何でしょう。一見、尾長の鳥かと思ったのですが、右の部分は別のモティーフのようですね。展示同様、用途は壁掛けでしょうか。個性的で素敵です。

[カーニバル]シリーズスタイル/騎士図板 1962年 絵付:不詳 ファイアンス グスタフスベリ磁器工房

目を凝らすと、漫画チックで、とても楽しい作品ですよ。

4.アートウェア

グスタフスベリ磁器工房はテーブルウェアの生産だけでなく、さまざまな製品を展開していました。特にデザインに関心をもつ顧客層に向けては、上質で芸術性の高いアートウェアを制作し、より高価格帯の作品を提供していました。これらは企業の贈答品や個人のギフト、あるいは書棚を飾る装飾品として用いられ、(以下、割愛)

この範疇に収まる作品がどれか分かりません。『3.ファイアンス』に掲載した作品の一部が対象かもしれません。

5.フィギュリン(人物と動物)

スティグ・リンドベリが、1930年代後半に制作した初期の彫像作品には、(中略) 聖書の題材をテーマにしたものが見られます。これらの作品は細部のこだわりが生み出す豊かな表現力と、優雅に空間へと伸びていくような造形美が特徴です。またその他の彫像作品においては、人間や動物の本質を引き出したかのようなフォルムが特徴的です。(以下、割愛)

展示風景
6.ユニークな炻器/ストーンウェアの彫像

(前略) リンドベリはしばしば女性をモデルにした作品に取り組み、特に手を上げたポーズを好んで表現していました。なかでも注目すべきは、1940年代の彫像に見られる三つ編みの髪の描写です。《髪を編んだ女》や《スカートに花を飾った女》に用いられているややざらついたシャモット土の表面には、光沢のある明るい釉薬が塗り込まれており、筆の跡が残されています。(以下、割愛)

髪を編んだ女 1940年代 炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

髪を編んだ女 1940年代 炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

小品ながら、ガラスケース内で異彩を放っていました。

スカートに花を飾った女 1940年代 炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

現代なら、多肉植物の鉢にありそうなデザインです。両腕を上げて頭に回したポーズが独特です。

特別出品 エナメルのテーブル 1959年 エナメル塗装、鉄、木  製造:NK百貨店 家具デザイナー、ダーヴィッド・ロセーンとの共作。ストックホルム・NK百貨店のためのデザイン。

エナメルのテーブル 1959年 エナメル塗装、鉄、木  製造:NK百貨店 家具デザイナー、ダーヴィッド・ロセーンとの共作。ストックホルム・NK百貨店のためのデザイン。

ブルーのエナメル塗装が、平凡なテーブルを別物に仕立てています。

7.ユニークな炻器/ストーンウェアの器

リンドベリは、外観の質感や色彩がデザインに与える影響を明確に理解しており、それが作品における装飾の一貫性にも表れています。掻き落とし模様や型押し、または古典的な色調の釉薬、あるいは彼自身の独自の色彩スケルにおいても、彼の仕事の仕方は変わりませんでした。(以下、割愛)

大鉢 1965年 ロクロ、押型装飾、炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

大鉢 1965年 ロクロ、押型装飾、炻器/ストーンウェア グスタフスベリ磁器工房

日本で創作された作品と見紛うほど、和を感じます。

ネックレスとブレスレット 1949年−1950年頃 シルクのリボン、無釉磁器

NK百貨店テキスタイル部門主任のアストリッド・サンペへの贈り物として、スティグリンドベリによって手作りされたジュエリー。

ネックレスとブレスレット 1949年−1950年頃 シルクのリボン、無釉磁器

ハワイアン・レイを連想する華やかなネックレス。贈られたアストリッドさんは、さぞや感激したことでしょう。

8.テキスタイル

(前略) 1944年には、リンドベリはヘイマン&オルセン社のプリントテキスタイルのデザインを手がけていました。このことが、スウェーデン随一のNK百貨店のテキスタイル部門責任者であり、当時のスウェーデンテキスタイル界を牽引していたアストリッド・サンペの目に留まり、長期にわたる二人の共同作業が始まることとなったのです。(以下、割愛)

展示風景

特別出品 機織り機 リンドベリの妻グンネルが使用した機織り機。

[国王コンスタンティノスとアンナ=マリア王妃]/タペストリー 1967−1973年 毛糸

機織り機  [国王コンスタンティノスとアンナ=マリア王妃]/タペストリー 1967−1973年 毛糸

リンドベリのデザインを、夫人がタペストリーとして完成させた、ということですよね。公私共に良きパートナーだったのですね。

9.スティグ・リンドベリと日本

(前略) 1959年、リンドベリは日本の新聞社の招きにより、自身の個展開催やスウェーデン・デザインの紹介を目的として初来日を果たしました。約二週間にわたる滞在の中で、東京・名古屋・京都・信楽などの主要都市や陶芸の産地を巡り、日本の伝統文化やデザインの多様な側面に触れました。(以下、割愛)

ティーポット 1960年 ロクロ、炻器/ストーンウェア/把手:真鍮、木 グスタフスベリ磁器工房 日本への旅でインスピレーションを受け、デザインされた。

ティーポット 1960年 ロクロ、炻器/ストーンウェア/把手:真鍮、木 グスタフスベリ磁器工房 日本への旅でインスピレーションを受け、デザインされた。

コロンとしたフォルムが可愛らしい。藍色と把手の真鍮・木との組み合わせも良いですね。

10.子どものためのデザイン

(前略) リンドベリの子ども向けデザインの特徴は、遊び心あふれるストーリーテリング、秩序を超えて溢れる躍動感、そして皮肉を効かせたユーモアにあります。彼の作品は大人の中に常に存在する「子ども心」にも語りかけています。(以下、割愛)

[ベイビー]装飾、[SB]モデル/子ども用食器セット:皿、マグカップ 1951年 デカル、ボーンチャイナ グスタフスベリ磁器工房

[ベイビー]装飾、[SB]モデル/子ども用食器セット:皿、マグカップ 1951年 デカル、ボーンチャイナ グスタフスベリ磁器工房

1951年に製作されたとは信じ難いほど、このデザインは現代風です。把手が両側に付くベイビー用のマグカップは、この時代からあったのですね。

展示風景
展示風景

[コメディア]/トランプカード、ダイヤのキングのための原画 1958年 インク、彩色、紙 

[コメディア]/トランプカード、ダイヤのキングのための原画

手作り感満載。ダイヤの横に薄く「K」と表示されています。

所要時間の目安は小一時間です。《スティグ・リンドベリ展》会期は9月7日まで。

20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展|日本橋高島屋S.C. 大阪高島屋
スウェーデンの陶芸家であり偉大なデザイナー「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」を日本橋高島屋S.C. と大阪高島屋で開催。約300点のデザインやアートをご紹介いたします。
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